1408号室 ジョン・キューザックの演技力に支えられた作品

心霊現象をテーマにした作家である主人公のもとに、あるホテルの部屋についての手紙が届く。「1408号室、1、4、0、8足して13か。」どうせガセだと思い、半信半疑でその一室に泊まることにした主人公に次々と恐怖が襲いかかります。
主人公を演じるのはベテランのジョン・キューザック。彼でなければこの主人公は務まらなかったと思います。この作品はホテルの一室という固定された狭い空間でストーリーが展開します。この密室の中で一人のシーンがほとんど。ホラー映画によくある、襲う側の視点のような演出もありません。何が自分を襲っているのか、何が目的でこの部屋は自分を閉じ込め、苦しめているのか。恐怖の正体も目的も分からない中で正気を失っていく主人公の様子こそがこの映画の怖さのすべてで、それを演じきるジョンの演技力に脱帽です。
スティーブン・キングの短編小説が原作であるこの作品は、古くから使われている恐怖を感じさせる演出が盛りだくさんです。しかし、それをありきたりに感じることはなく凝った小道具やカメラワークによって新鮮さも感じさせるようなものになっています。個室と言う限られた設定で、あれだけの世界観を生み出せるのは原作と監督の技術がうまくかみあった賜物だと思います。
グロテスクな演出も少なく、心霊や怪物というよりも純粋な「恐怖」を味わえる作品なので、ホラー映画初心者の方におススメしたい一本です。その反面、ホラー映画好きにはちょっと物足りないように感じられるかも知れません。