ミスト 衝撃のラストは覚悟して見ましょう

作品的にはSFホラーとなっていますが、ストーリー全体はSF要素が強く、映像やラストに向けての物語の展開は、完全にホラーといっても良いかと感じます。特に多くの方が話題にしているこの後味の悪さは、スターウォーズやスタートレックが好きな純粋なSFファンが見たら、確実に腹を立てるレベルです。はっきり言います。それだけラストを見た後の後味の悪さは、天下一品です。
まあ原作がスティーブン・キングですから、見ていてただでは終わらないだろうと思っていましたが、途中の展開がしっかりテンポがあって、最後はそこに落とすのかと、正直気持ちが萎えてしまいました。
とはいえ、作品全体としては、とてもしっかりしています。娯楽映画に欠かせない、正義感の強い主人公や、見ていて殴りたくなるワルや、か弱い少年など、ツボもしっかり押さえてありますし、特撮も頑張っていて、ストーリーも見ていて飽きない展開の早さです。そして、タイトルにもなっているミスト、真っ白で前が見えない霧が作り出す閉鎖空間が、恐怖を倍増してくれます。
そう思うと、これで後味を良くしたら、単なる娯楽作品だけとして終わってしまい、考える要素が無くなってしまうので、あえてああいったラストにしたのかもしれません。霧に中で迷う姿は、はっきりとしない現代社会の中で迷う姿と重なり、一歩間違えた時には、悲惨な結果になるという警告とも取れます。ですから、いくら後味が悪くても、この映画はお勧めできる作品です。