見てみると、何箇所か腑に落ちない点はあるものの、物語の大筋自体はそこまで分かりにくいことはありませんでした。
この映画のどこが怖かったか、それは序盤から後半にかけて漂う居心地の悪さです。
ヒステリックな義母、その義母を忌み嫌って寄せ付けない姉、その姉に隠れるようにして引っ付き離れない妹、姉妹の気持ちを分かろうとしない父。
こじれた家庭の特有の居心地の悪さが、朱色や紅色で統一された屋敷の薄暗さと相まって、独特な不気味さを作り出しています。これが普通のホラーとはまた違った緊張感を味あわせてくれます。
逆に、和製ホラーのようなショッキングな演出は、全体の出来のよさから比べると、どうしてもとってつけたような印象を受けました。霊の存在を示すというのはこの映画の中で必要なシーンであったとは思うけれど、もう少しやり様や詰めどころがあったのではないかと感じました。
切なさを押し出してくる時の演出が凄くいいです。まるでフランス映画のような演出で、とてもグッときた。
エンドロールが流れる中、回想シーンのようなものが入るのです。
これがまた哀愁に溢れていてたまらないので、本編が終わったからと言ってすぐにDVDプレイヤーを閉じないでほしい。余韻をじっくりと楽しんでください。
回想シーンはエンドロールより少し前のシーンでした。失敬。ラストシーンからエンドロールにかけての余韻が素晴らしいのは変わらないので、是非お楽しみください。
とてもいい映画でした。
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