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おろち 奇病にかかる家系の女同士のドロドロ

原作は読んでるはずなのですが、だいぶ記憶風化してるな。個人的に楳図かずお作品で一番好きなのはやっぱり『漂流教室』なのですが、これの映画はどっちもしょぼんな感じだったじゃないですか。

『赤んぼ少女』の方ではグロ全開だったのですが、こちらの作品の方は昭和の古い洋館を舞台にした、姉妹二人の心の闇にスポットが当てられたサイコスリラー調になってます。この「昭和の洋館」ってのがホント楳図チック。主演の木村佳乃は門前家の姉妹の母親葵役と、姉の一草の一人二役。そして妹の理沙役に中越典子。そして彼女たちの愛想劇を見守るおろち役に谷村美月。この三人を軸にお話は進んでいきます。

正直その展開は強引過ぎだろ!って部分は幾つかあります とりあえず他人の空似多過ぎ!しかしそんな無理矢理も力技でねじ伏せちゃう楳図クオリティ。

29歳になると門前家の女性に訪れる原因不明の奇病。しかし本作の真の恐怖をその奇病にではなく、それによって姉妹の関係が崩壊していく様に置いたのが良かったと思います。元々この『おろち』の原作も、心理的な恐怖に焦点を置いた作品だったんですよね。そしてこの醜く悲しい愛想劇を演じる、木村佳乃と中越典子のぶっ壊れ演技は見事。美の妄執は女性の方がより身に染みて感じるのかな。大どんでん返しのラストの二人の熱演はホント必見。

そういえば最近は俳優以外の活動の方が忙しそうな山本太郎がクズ映画ディレクターの役で登場。姉妹の給仕役の嶋田久作もさりげなくいい味でした。