ホラー映画序盤の、これからとんでもない惨事が
起こることを予感させる序盤のザワザワした恐怖感、
そのの序盤の恐怖感が、鑑賞後も長年にわたって
ずっと尾を引いているという極めて特殊なホラー映画が
あります。黒沢清監督の2005年作品「LOFT」です。
「アカルイミライ」、「ドッペルゲンガー」等で黒沢清作品の
大ファンになった私は、「LOFT」にも大きな期待を
していました。劇場に監督の作品を見に行くのも
始めてのことでした。
スランプに陥り、郊外の古い一家に引っ越した
中谷美紀演じる女流作家の礼子は、豊川悦司演じる
大学教授が家のすぐ近くの沼からミイラを引き揚げて
いるところを目撃、精神的ショックでさらにスランプは
深まり、その後の惨劇をよかんさせるのですが…
中盤以降、ストーリーが全く掴めなくなり、謎めいた
ラストシーンのまま、謎の終劇、となるのです。
私は映画鑑賞中にストーリーの大切な部分を
見失うことが多いので、きっと今回もそうに違いないと
再度観てみましたが、やはり全く意味がわからない
のです。ネットで解釈を探しましたが、やはり「わからない」
という意見が圧倒的に多く、10年近くたった今も
モヤモヤした気持ちが残っています。
これは実は黒沢清監督が仕掛けた「新しい恐怖感」
なのではないかとも思います。ハリウッド映画のような
ド派手な演出で味わうリアルな恐怖感ではなく、
鑑賞後もじんわり尾を引く不気味な恐怖感、意図して
制作されたとすれば、私は10年近く監督の術中に
ハマったまま、ということになります。
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