ブラック・スワン プリマドンナの妄想と現実

「白鳥の湖」の主役に選ばれたバレリーナの主人公。真面目な性格から、悪女である黒鳥の演技がうまくいきません。緊張と役を奪われる不安に苛まれる中、彼女の周りにおかしな事件が起こり始め……。

結構グロいので、血や痛いシーンが苦手な人は注意。はらわたや首チョンパなどはないのですが、ちょっとしたケガ(ささくれやかきむしり跡)が非常に痛そうに映像化されています。それがかなり怖いです。私は首がぶっとばされるよりこういう描写が苦手なので辛かったです。むしろこういう描写のほうが好き!という人は楽しいでしょうが。

作品中盤から妄想・幻覚と現実の区別がつかなくなってきます。映画はずっと主人公の視点で描かれるので、見ている側も妄想と現実の区別がつきません。いったい何が真実なのかわからないまま、公演の舞台まで辿り着きます。知らない車に乗せられているようでくらくらしました。

それからバレエのシーンが非常にかっこいいです。基本的に上半身しか映らないのですが、その分表情がよく見え、ぐるぐると回る視界で主人公と一緒に踊っているような気分になります。ただの舞台装置として使うのではなく、しっかりバレエという芸術を噛み砕いた映画だと思いました。鬼気迫る、とはこういうことなのでしょう。

バレエのことをよく知らない人も楽しめる映画だと思います。ホラーというくくりにするのがもったいないくらいですが、やはりホラーが好きな人にも見てほしい。そんな映画でした。