たとえ現実離れした物語も、その展開次第では現実と重なるように見えてしまう事もあり、それがさらに度を超えると、恐ろしいホラーになってしまうという事なのでしょうか。この映画は、まさにそんな感じを受けます。
映画全体に漂う空気は、ホラーとしての恐怖感というより、人間として生理的に受け付けたくなくなる嫌悪感のようなものがあって、それってやはり原作の凄さと大竹しのぶの演技力なのかなと思います。この映画がサスペンスという枠だけには収まらずに、ホラーとなってしまったのは、その部分かなと感じます。例えていえば、台所に突然出てきたゴキブリを見るような、しぶとさといい、おぞましさといい、申し訳ないですが、大竹しのぶとゴキブリが重なってしまう感じで、そこまで見せるのは凄いです。
そして、確かこの映画が封切られた頃に、有名な保険金詐欺の事件も現実に起きていましたね。友人の保険屋さんが、その頃の事件の後から、仕事でお客さんと契約する際のコンプライアンスが厳しくなってきて、作業が大変になったとボヤいていました。そう言った意味では、時代を感じさせる物語だと思います。
最近は、保険金詐欺にしても、それ以外の殺人などにしても、もっと過激な事件がたくさん報道されていて、その残酷さはすでに映画の世界を超えていると思えるようなものもあります。ですから、昔に観た時の衝撃は、今観たら感じないのかも知れません。その事実が、一番怖いかも知れませんね。
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