怪談新耳袋殴り込み!劇場版<関東編> 笑って楽しめるホラー

ホラー映画は怖がるのが醍醐味ですが、中には笑って楽しめるものもあります。『怪談新耳袋殴り込み!』シリーズは、そんな異色の楽しみを味わえる作品ではないでしょうか。

『怪談新耳袋殴り込み!』の劇場版は、2011年から2013年までに毎年二本ずつ作られていますが、ここでは2011年の『怪談新耳袋殴り込み!劇場版<関東編>』をご紹介したいと思います。

各地の心霊スポットに出向き、そこで心霊現象を撮影しようと苦心惨憺する様を描いたドキュメンタリーで、今作では有名な青木が原樹海などが登場します。「挑発すると霊が出てくるのでは」という考えの下、不謹慎ともいえる行動をとるため、不快に感じる人もいるかもしれません。

また、ライターや編集者、映画監督など、通常は裏方として活躍するはずの人達が出演しているため、「好きな俳優を見たい」という楽しみも感じられないでしょう。また、普通のホラー映画に比べれば心霊現象は地味と言わざるを得ません。

このように言ってしまうと、まるで魅力のない作品のように聞こえてしまいますが、この映画の魅力は「バカバカしさ」と「いい年をした大人が恐怖する様」、そして「創作性を感じさせない怪異」です。たとえ地味な皆既現象しか起こらなくても、夜中に心霊スポットへ出向くというのはそれだけで恐ろしいものです。

暗闇の中、わずかな音にも恐怖してしまうキャストや、馬鹿馬鹿しいチャレンジを笑いつつも、映像に収められた不可思議な現象を楽しめます。作り込まれたホラー映画の描写に飽きてしまった人や、大勢でワイワイ観たい人には特におすすめできそうです。

惜しむらくは、シリーズを重ねるごとに「バカバカしさ」が増しすぎてしまい、かえって鼻に付くように感じられてしまうところでしょうか。劇場版から監督も変わっていますので、個人的にはできるだけ初期のものをおすすめしたいところです。劇場版以前にもDVDが出ているので、仮に「映画」という枠にこだわらないならば、こちらを観てもいいでしょう。