ぼくのエリ 200歳の少女 怖いけど、切ない

2010年に公開された、スウェーデンのヴァンパイア映画です。

母親と2人で暮らす、12歳の少年。学校ではひどくいじめられ、誰にも相談できず、ひとり苦しむ毎日。そんな時、隣に黒髪の少女が引っ越してくる。少女と話をするうちに、少年は次第に心惹かれていき・・・。

こんな風に書くと、すごくありきたりなボーイミーツガール映画のように聞こえてしまうかもしれないけど、今までに観たことのない、不思議な感覚の映画。少年の純粋さや少女のエキセントリックな様子はファンタジーのようなのに、凍てついた雪の地面に滴る血や、少女の体から立ち上る異臭、それらがやはりこれはホラーなんだと思い出させる。自分の子供のころも、こんなことあったな、としみじみ思いホロリとするシーンと、逆さ吊りにして血を抜き取る惨劇のコントラストが恐怖を倍増させます。

少女はヴァンパイアで、人殺しで、でも自分を理解してくれて心を通わせてくれる唯一の味方。

愛する少女のために、今までの自分の人生を切り捨てるのか、それとも今まで通りいじめられつつ悶々と日常へ戻っていくのか・・・こんな悩み、尋常じゃないですよね?

すごく残虐なシーンもたくさんあったにもかかわらず、観終わってしばらくして、思い出すのは美しい雪のシーンや、少年と少女が心通わせるエピソードばかり。観ているときはキチンと怖がらせてくれて、観た後の後味はとても美しい。こんなホラー映画って、そうそうあるものではないと思います。

「モールス」というタイトルでリメイクされていますが、スウェーデン版のほうが、はるかに美しく、怖ろしい。タイトルに惑わされることなく、ぜひ一度みていただきたい映画です。