とある山のホテルで、冬の間のメンテナンスをするために雇われた家族が、しだいに狂気に犯されていく、というものです。
スティーブン・キング原作、キューブリック監督、そしてジャック・ニコルソンが破られたドアから顔を覗かせる画像は誰もが見たことがあるだろう有名な映画です。
タイトルにあるシャイニングとは、「輝き」を意味する言葉で、登場人物の一人である少年の持つ特殊な能力をさしています。
原作の方ではこの能力が非常に重要な役割を果たしています。一方、映画の方では少年が時々見る異様な光景として現れますが、原作ほどの重要性はありません。
原作はこのホテルと居場所の超常的な性質や、少年とホテルのとある従業員との不思議な力を通した交流に重きを置いているのですが、映画の方はむしろ超常的な出来事なのか、それとも単に幻覚なのかがあいまいにされ、サスペンス要素が強くなっています。
原作を読んだ人にとってはそのあたりはちょっと物足りない気はします。原作ではホテルで起こった出来事もそれぞれもっと掘り下げてあり、主人公家族についてもホテルに来る前の様子の描写もあります。実際原作者のキングは原作との違いが気に入らず自分で再映像化したがあまり評判は良くなかったようです。
原作も名作なので映画を見たら是非そちらも読んでほしいところです。
キューブリックの作品は対称性など映像美が取り上げられることが多いですが、個人的には音楽の使い方もおもしろいと思っています。
たとえば最初に使われている音楽は賛美歌の一つ「怒りの日」から取られています。名前の通り世界の終末を表す音楽で、キリスト教世界ではよく使われるモチーフです。
そんなことを気にしながら見てもおもしろいかも知れません。
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