変態島 邦題とは全く違う物語

「変態島」この邦題から想像しうる内容とは全く違う話。幼い息子を失った中年夫婦。悲しみにくれる中、東南アジアの風景が写っているビデオを見ていたときに、息子に似た少年を見つけます。そして夫婦は息子を探す旅にでるのです。大まかにはこのような内容です。そして出発した夫婦に待っていたものは、人身売買の島国と金のためなら簡単に人を騙す人たち。この夫婦はこの条件でどんどん悪い方向に向かっていくのです。いちるの望みを信じて、現地人をたよる夫婦。その夫婦を騙して金を巻き上げる人々。このやりとりと夫婦の表情や表現の仕方が絶妙で、見るものを引き込みます。あきらめかける夫と最後まであきらめない妻。この夫婦間の感情も上手く描かれています。次に待っているものは何か?常に期待させる内容です。二人が信じて行き着いた先はジャングルの奥深く、全身白塗りの子供達だけの島。このシーンは現実か、幻覚なのかいまだにわかりません。「変態村」から始まったフランスの変態シリーズの作品は、勝手に邦題で変態シリーズとつけただけで、実際はこんないい映画もあります。邦題が「変態島」でなければ、もっと評価されていたかもしれません。サスペンスミステリーホラーというべき作品ですが、映画のツボをよく押さえています。タイのプーケットからミヤンマーに入り、ジャングルの神秘、静寂の中の恐怖、そしてうごめく人間関係、夫婦関係、どれをとってもよく出来ています。かといって、大衆に受ける内容か?といえばそうではありません。ホラーファンならお勧めの一本だと思います。