とある男子高校生の話。

夏休みに、友達から「免許を取ったから遊びにいこう」という誘いの電話があった。

時間は午前三時。
蒸し暑い事もあって、サーフィンをやりに神奈川の海岸へ向かった。

海に到着した時刻は、午前四時。人も結構いて賑わっている。
友達は「仮眠をする」と言ってからすぐに眠りに入ってしまったようだった。

「俺も仮眠しようかな?」
そう思った時、車のドアを叩く音がした。

開けてみると、小学5〜6年くらいの見知らぬ男の子が立っていた。

「今、スゴイいい波だよ。お兄さんも来たら?」

男の子がそう言うので「俺もサーフィンしにいこうかな?」と思ったが、やはり少し疲れている。

「ありがとう。もう少したってからいくよ。」

そう応えてドアを閉めたのだが、外からはまだ少年の声がする。

「本当に波いいよ。」「今が絶対いいよ。」

あまりにもしつこい。
疲れていた事もあって、怒った口調で「わかったよ!」と言うと同時に少年の呟く声がした。

「ほんとに、いい波だよ。僕、この波で死んだんだ。」

男子高校生はハッとして、ドアをあけたがそこには誰もいなかった…