延々と続いている少女漫画 「ガラスの仮面」。 作者の美内先生は、最終話をもう決めてあるそうです。
「私は悪くない! 刑事さん! 信じてください! 私は何も悪いことはしてないんです! 」
杉子は、泣き顔で絶叫した。
「見ていた人がいてね。君のせいでマヤさんが海に落ちたと言ってますよ。」
「違います! 私がお芝居のチケットを渡そうとしたら、風でチケットが海に飛ばされたんです。 そしたらあの子、急に海に飛び込んで・・・。
そんな事してくれなんて言ってないし、冬の海に飛び込むなんて思わなかったし・・・。 まともじゃない! 私のせいじゃありません! 」
溺死したマヤの手には、舞台 「椿姫」 のチケットが握られていた。
顔は不思議なほど安らかだった。
天に召されるまでのわずかな時間に、芝居の幻でも見ていたのだろう。
こんなに芝居が好きなら、助かっていたら、大女優になったかもしれない。 (完)
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