小学生の時に経験した、今思えば怖い話。
当時、ギックリマンチョコ(仮名)の、付録のシール収集にはまっていた。俺だけでなく、同年代の男連中もはまってたもんだから、近所の駄菓子屋、スーパーはいつも品薄状態で、たまに納品されても「1人3個まで」制限が常態化していた。
チョコ探しが空振りに終わる日々を過ごしていたある日の学校帰り、スーツ姿の中年男性に呼びとめられた。
「お兄ちゃん、ギックリマン欲しいならあげるよ。いっぱいあるよ」
男は、写真を収めるアルバムのような物を俺に手渡し、俺は中身を見た。
すげえ、全部揃っている。本当にビックリした。「今日は五枚あげる。君の名前を教えて」
それからはほぼ毎日のように、放課後はその中年男性からシールを数枚貰う日々を過ごした。
ある日の放課後、いつものように男と落ち合ったが、普段の優しい笑顔がない。
「Kくん!お父さんが大変なんだ!一緒に病院行くよ!近くに車あるから早く行こう。早く早く!」
男は俺の手をとり歩き出した。
「Kくん、掃除道具ちゃんと片付けて帰らんといけんやろ!」
クラスの女子2人が、怒鳴りながら向こうから歩いてくる。
その瞬間、男はパッと手を離し早歩きで去っていった。
「今の人お父さん?誰?」
うーん、誰だろう?俺は答えられなかった。それより病院行かなきゃ…
当然何も無かったが、確か2日後、保護者会があったようだ。俺の行動が大問題になったみたい。あの女子2人が言ったんだろうな。
最後に、俺が当時あの男に対してもった印象は、とにかくいい人!それだけ。警戒心なんて全くもたなかったな。
小さい子どものいる親御さんへ…少しは参考になっただろうか。
怖い話投稿:ホラーテラー ガッツいちもつさん
作者怖話