あるコピペ職人の話・前編

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あるコピペ職人の話・前編

あるホラー系サイトに一人のコピペ職人の男がいました。

彼はいつも、色々な他のサイトや2ちゃんねるの雑談等で「表現力が未熟なためにあまり知られてはいないが、各文をそれなりにちょっとずつ上手く改稿すれば面白くなりそうな怖い話」を見つけ出し自分なりに改稿しては、一応「コピペですが・・・」と最低限断った上で、彼が主戦場としているそのホラー系サイトに投稿していました。サイトのみんなが彼のコピペを褒め称えました。あくまでも改稿・投稿をした彼の方ではなく、オリジナルの原作者の方のことを・・・・・・。

彼はそれでもとても満足でした。自分には過去にたった一度の不思議な体験さえも無ければ、創作する才能もない。かつて自分が1週間も一所懸命考えた自信作は個性の欠片もないとめちゃくちゃにけなされ、マイナス点しか入らなかった。自分のセンスと文才の無さを思い知った。ならばせめて自分は自分のやり方でサイトのみんなを怖がらせよう、喜んでもらおう。生粋のコピペ職人の彼はただ純粋にそう考えていたのでした。

「コピペ、コピペ、コピペぇ~!!」

そして彼は今日も知られざる名作の卵を見つけては、自分のノートに楽しそうに下書きを改稿してゆくのでした。(つづく)

怖い話投稿:ホラーテラー 行方不明さん  

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