夕暮れ時、駅のホームでの話。
赤字続きで廃れたローカル線の駅のホーム。
私はベンチに腰掛け電車が来るのを待っていた。
日はすでに傾き、あたりは夕焼けで赤く染まっている。
ホームには私の他に1人、サラリーマン風の男性が白線に沿うように立っているのだが、
その顔は夕日による逆光線でぼやけ、はっきりしない。
ふと時計を見る。次の電車まであと五分。
手持無沙汰にあくびを堪え、ただ、なんとなく時間が過ぎるのをまった。
しばらくすると電車がゆっくりとホームに入ってきた。
待つという行為は、いつでも時間の流れを遅く感じさせるものだ。
だからだろう、私はベンチから立ち上がろうとすると同時に腕時計を確認した。
…針がおかしい、壊れたのか、電池切れか。
さっきと同じ時刻、次の電車まであと五分。
いつから止まっていたのだろう、慌ててホームの時計を確認した。
何故だろう、この時計も到着予定時間には五分ほど足りてない・・・。
ダイヤが乱れているのだろうか?
サラリーマン風の男性が電車に乗り込むんで行く。
車掌が乗らないのかとばかりにこちらを見つめている。
何故だろう、廃れるばかりのこのローカル線で、なんでこんなに人が乗っているのだろう。
私はこの状況になぜか恐怖していた。
そしてそのままベンチに座り直すのだった。
そこで私の目が覚めた。
どうやらベンチで寝ていたらしい。
いやな夢を見たものだ。
ふと時計をみる。
電車が来るまであと一分。
まもなく電車が見えてきた。
視線をずらすとサラリーマン風の男性が立っている。
夕日に染まってぼやけた顔が、
ぼやけているはずの顔が、何故かその時はっきり見えた。
男は遠くを見ていた。その顔はとてもうつろだった。
そしてその男は電車が入ってくる線路に向かって・・・。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話