俺は小さい頃から体が弱く、よく入退院を繰り返していた。そして相変わらず今も入院している。
俺が入院している病院は、夜の8時になるともう消灯だった。中学生の俺はそんな時間に寝れる訳もなく、一緒の部屋で仲良くなったやつ(Nと呼ぶ事にする。)と話していた。Nは俺と同い年だった、点滴を付けてる俺にとってNと話すのが唯一の楽しみだ。
ある雨の日。8時の消灯の後、相変わらず俺とNは話していた。その時Nは言った。
「なんか外の方から足音聞こえない?」
確かに何か聞こえる、ひたひたと音が聞こえる。
「もう!いつまで起きてるの!!早く寝なさい!!」
俺はいきなりでびっくりしたが当直の看護士さん(Sさんと呼ぶ事にする。)が部屋の見回りに来ただけだった。
Sさんは最近入って来たばかりの看護士さんだ。そしてかなりの美人だ。でも、俺達がSさんを見れるのはいつも夜だけだった。どうやら昼は診療室で働いてるらしい。
俺は外の足音に違和感を感じつつも寝る事にした。
そして中途半端な時間に俺だけ目が覚めた。俺はまた寝ようと思い、目を閉じようとした瞬間。
ひた、ひた、ひた。
また外から足音が聞こえた。そしてその瞬間。
窓が開いたのだ。そして変な男がはいってきた、そして俺の横に立って言ったのだ。
「気をつけろ。」
俺はあまりの驚きにずっとその人を凝視してしまった。
「もう!Aさん!!何してるの!!」
俺はSさんの声に更に驚いてしまった!!Sさんが部屋の見回りに来たのだ。
「ごめんね、Aさんはたまにこうやって出歩いてしまう時があるの。ちょっと部屋まで連れて行くね。」
俺はただの人間だった事に安心した。
そして、SさんはAさんと言う人をを連れて出ていった。
そして俺の横には注射器があった。Sさんの忘れ物だ、きっと点滴から薬をいれに来たのだろう。
いつまでたってもSさんが帰って来ないので、俺はナースセンターに注射器を届けに行った。
「あの、Sさんが注射器忘れたみたい何ですけど。」
俺はもう一人の当直の看護士さんにそう言って注射器を渡した。
「Sさん?そんな人、この病院にいないわよ。それにこれ…」
看護士さんが注射器の中身を少し出した。その時異様な匂いがした。俺ははその時、注射器の中身を理解した。
ガソリンだ。
何週間かして、Sさんは殺人の容疑で逮捕されたらしい、どうやらここ最近、いろいろな病院で患者が死んでいたらしい。しかし看護士はみんな病気のせいだろうと思い、何も検査せずに霊安室にいれていたらしいのだ。もしもAさんがいなかったら俺は大変な事になっていたかも知れない。
そして俺が病院を退院した頃、Aさんは亡くなったようだ。
怖い話投稿:ホラーテラー とり辺さん
作者怖話