これはもう何年も前の話です。
「ショコラ~」
ショコラとはうちで飼ってるミニチュワダックスフント。
名前をつけたのは妹。
一人でお留守番していた私はショコラと遊ぶことにした。
ショコラはしっぽをパタパタさせて近づいてきた。
私はショコラを両手で抱っこした。
いつもは大人しい。だけど今日は違った。
私の腕の中で急にソワソワしだした。
「ショコラ~?どうしたの?」
突然ショコラが私の腕から飛び、すばやく玄関に行った。
「ショコラ、外はだめだよ」
私はショコラを手で持ち上げる。
ショコラは玄関に向かってバタバタしている。
「だーめ、また今度ね」
だけどショコラは外に向かってバタバタしている。
私の手にまで噛み付いてきた。
普段は絶対噛まないのに。
仕方なく外にでた。
瞬間ショコラは落ち着いた。
私は疑問に思いながら家の中に入ろうとした。
するとまたショコラが暴れだした。
「もうダメ!!」
無理矢理つれてこうとしたらまた噛み付いてきた。
そのまま道路にかけていく。
「ショコラ!!」
私は走って追いかけたが遅かった。
ショコラは車にひかれた。車は一瞬立ち止まり走り去ってしまった。
ショコラは動かなかった。
私はその場に声をあげて泣いていた。
しばらくたってちょうど仕事から帰宅してきた母に会った。
事情を説明し、ショコラを抱き抱え、家に戻ることにした。
家に帰った私と母は唖然とした。
家中がめちゃくちゃだったのである。
私達はすぐ110番に連絡した。
どうやらこの辺で多発している空き巣らしかった。
私は震えが止まらなかった。
ショコラは私を助けるために……?
時間を稼ぐために?
私はまた泣いた。
ずっとずっと泣いた。
ショコラを庭のお墓に丁寧に埋めた。
空き巣はすぐ逮捕された。
私はショコラをひいた人も捕まえてほしいと頼んだ。
その日から私は自分をずっと責めていた。
妹は泣きながら「お姉ちゃんのせい」と言ってきた。
私はその夜たくさん泣いた。
いつのまにか眠っていた私は夢をみた。
ショコラが悲しげに私を見ていた。
ショコラがもし話せたらなんと言っていたのだろう。
その日から私が一人で泣いてる時はショコラが夢にでてきては悲しそうな顔でこちらを見てくる。
ある日私は決めた。
笑っていようって。
ショコラがそう望んでいると思うから…。
怖い話投稿:ホラーテラー 山本 佳代さん
作者怖話