今日の空はとても綺麗。真っ赤な夕日が夏を感じさせる。でも、私はこの綺麗な空を二度とみることはない。
私は今日この世界を飛び立つ。でも空の綺麗さに涙が出た、まだ逝きたくないな。でも私はあなたを殺してしまったから、これが私にできる唯一の罪滅ぼし。
あれは二年前、私はあなたに出会った。確か大学の入学式ね。とても綺麗な長い黒髪に、ピンク色の頬、そして目がとても澄んでいて、あなたはとても綺麗な人だった。
それに比べて私は…
何だか劣等感を感じたのを覚えている。
でも、あなたはとても良い人だった。こんな劣等感の塊みたいな私と仲良くしてくれた。
私もあの時、純粋にあなたを信じられればよかったのにね。私はあなたの優しさを信じれなかった、嘘だと思ってた。
今思うと、私の心はとても醜かったのね。
私はあなたと仲良くした。でも私は表面だけ。だけど、あなたは私に優しくしてくれた。私はそれがとても嫌だった。
ある日、些細な事であなたと喧嘩をした。
私はあなたに言った。
「どうせあんたは私みたいな醜いのを見て、いつも優越感に浸ってるんでしょ!!近寄んないで!」
あなたは傷ついた顔で私の元から去って行った。そして、あなたに会う事は無くなった。
それから半年が経って、あなたが自殺した事を知ったの。
私はあなたのお葬式に行った。
そしたらあなたのお母さんが泣きながら言ったの。
「娘と仲良くしてくれて本当にありがとう、あの子昔から体が弱くてね、ずっと入退院を繰り返してたから友達がいなかったのよ。だからあなたが初めての友達だったの、家に帰るといつもあなたの事話してたわ、今までに見た事ないくらいの笑顔でね。」
私が本当の友達?こんな私が友達?私は喉の奥が熱くなるのを感じた。
「後、これ。」
あなたのお母さんに手紙を渡された。
「あなた宛てに書いた手紙らしいの、家に帰ってから読んでほしい。」
お母さんは私にそう言った。
私は家に帰り、手紙を読んだ。
(親友のあなたへ、あの時はごめんなさい。でも私は反対にあなたが羨ましかったの。健康な体、そして一人で何でもできる強さ、あなたは私にないものをたくさんもってた。そんなあなたと、私は友達になりたいと思ったの。私はあなたと過ごした日々がとても楽しかった。でも喧嘩をしてしまった時、あなたに言われた事に私は「違う!」と言えなかった。でもね、私にとってあなたはとても輝いてたの。でも、そんなあなたに嫌われてしまったら…私もうだめ…今までありがとう。)
私は、自分の罪深さに泣いてしまった。私はどうすればいいの?あなたを殺してしまった。
罪を償わなければいけないと感じた。その時私は死ななければいけない気がした。
こんな事を走馬灯のように思い出してる間にビルの屋上に着いた。屋上から見る景色は、この世界自体を見ているようだった。私は涙が止まらなかった。
そしてフェンスを越えた。
高いな。でも、あなたの苦しみに比べれば。飛べるわ。
私は、飛んだ。とても綺麗だった。とても。
その時、あなたの声が聞こえた気がした。
「お願い、生きて。」
そう聞こえた気がした。何だ、最後まで私は選択を間違えてたのか。ごめんなさい。
ドサ……
目が覚めた、真っ白な部屋にいた。病院のようだ。
生きてるんだ。私は嬉しかった。これであなたに対して罪滅ぼしができる。
でも私は自力で動けないみたい。そして私の体は機械に支配されてる。
こんな私を見てあなたは笑ってくれるかな?
今日も綺麗な夕日。そして風が気持ちいい一日だった。
怖い話投稿:ホラーテラー とり辺さん
作者怖話