妹は可愛い。4歳年下で小学生の頃は無邪気でぼんやりしている妹が、知らない人に誘拐されないかとか少し不安だった。
両親が海外に良く行くから、居ない間は俺と妹は分担して家事をする。本当良い子だ。
中学に上がってから若干大人っぽくなったけど、まだまだ子供…
でも、周りはそうじゃなかった。
「あのね、同じ部活の先輩から今度遊園地行かないか誘われて。すっごく楽しみ」
ある日夕食中に笑顔でそれを言われた。
…デート。
観覧車とかに乗ったらその先輩に何されるだろう。妹は訳も分からず怯えながら、キスとかされるかもしれない。告白されて付き合ったらどうしよう…
軽くパニックになった。
「…どうしたの?」
床に箸を落としたまま、呆然とする俺に対して不思議そうな表情で尋ねる。
「…駄目だよ」
「え?」
「行っちゃ駄目だ」
そこから先は良く覚えていない。
気がついたら、妹は泣いてた。
手足にロープで縛られ、押し入れに閉じ込められて。
「…ごめんなさい。行かないから。ごめんなさい…お兄ちゃん勉強で忙しいもんね。私だけ楽しい事しようとして…イライラするよね」
まるで検討違いな事を言ってくる。
「…もう明日から学校行くな」
「…え?」
「大丈夫。俺がこれから先、ずっとお前を面倒見ていくから。そこで大人しくしていれば良い」
それから、ずっと俺は妹の世話をした。ご飯も3食与えてロープを痛がるから外してあげて、その代わり部屋に鍵をかけた。
退屈しない様に本も、ちょくちょく与えた。それでも余程退屈なのか、俺が休日前の夜は喜んでいた。
ある日、来週帰ってくると親から連絡が来た。
どうしよう…これは不味い。怒った親が俺たちを離ればなれにさせるかもしれない。
「…どうしたの?」
食後のプリンを食べながら、妹は不思議そうに尋ねてくる。
続きます
怖い話投稿:ホラーテラー 家さん
作者怖話
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