去年の夏の話なんですけどね。
その日私は部活で帰りが遅くなっちゃって、真っ暗ななか、自転車を走らせていたんです。
私が住んでるとこは結構な田舎でして、帰り道に明かりなんかほとんどないんですよ。
そんな中、私は妙なことに気が付きました。
なんだかね、目の端になにか白いものがちらちら映るんですよ。
あれっ、と思ってその白いものがあった方に目を向けるんだけど、何もない。
それが何回も続くんです。
さすがにこれはただの見間違いやら錯覚じゃあない、幽霊かなにかじゃないか、と私はおっかなくなっちゃいまして。
なるべくその白いものを見ないように、顔を伏せながら自転車を漕いでたんですけどね。
なんだか、意識しちゃうとつい目がそっちに行っちゃって。
ついに私はそれがいったい何なのか、気付いてしまいました。
それは……。
でっっっかい白い犬のお尻。
いやいや、ふざけてるわけじゃないですよ。
もののけ姫ってジブリの映画、あるでしょ。
あれに出てくる山犬のモロってやつ。
あれと同じくらいに大きいお尻。
しかも、これまたでっかい尻尾を嬉しそうにぶんぶん振ってるんですよ。
はっきりとそれを認識した瞬間に、私はもう本当にびっくりしちゃって。
半ベソで帰路を急ぎました。
しかし、特にその白い犬になにかされたってわけでもなく、無事に家に着いたんですけどね。
到着した頃には見えなくなってたし。
あのときは本当に怖かったですよ。
もしかしたら、このばかでかい犬に食われちゃうんじゃないかって。
それ以来、その巨大な白い犬は見てないんですが、あれはいったい、何だったんでしょうね。
怖い話投稿:ホラーテラー 猫好きさん
作者怖話