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過保護な母親~モンスターペアレント~

中編7
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過保護な母親~モンスターペアレント~

俺の母は過保護だ…

今ニートになってしまった俺。

ちょっと過去の話を。

「たかしちゃん、今日学校どうだった?」

「普通」

「何だか元気ないわね?嫌なことあった?隠してるんじゃないの?」

「ないよ!違うって」

「たかしちゃん…」

ああ、本当にウザい。そう思っていると友人から電話がかかってきた。

「もしもし?……ああ、いいよまた彼女とデート?その代わり飯奢れよ」

電話を切ると母親がこちらをじっと見ていた。

「何の電話?」

「普通の話」

「何か隠してるんじゃないの?心配なのよ…ご飯奢れとか言ってるけどまさか恐喝?」

ああ…本当に面倒臭い。

そのまま無視すると、腕を捕まれた。

「待ちなさい!!」

凄い形相の母親。

仕方ないから、友人が彼女とデートで忙しいから俺が宿題を見せ、その代わりに何か奢って貰う約束をしたんだよ…その話をした。

すると母の顔が変わった。

「なんて荒れた友達と付き合ってるの!?学生は勉強するものでしょ?それを…それを…今すぐ縁を切りなさい!!」

「は?」

付き合ってられず、無視して部屋に入った。

しばらくして、風呂に入っていると母の罵声が聞こえた。今度はどうしたんだろうと思いながら、バスタオルで髪を拭きながら出てくると携帯がない。

「…」

リビングに行くと母が俺の携帯をテーブルの上に置いていた。

「貴方の友達に、ちゃんと忠告しておいたから」

翌日、学校に行くと即友人の元に走った。昨日母親が勝手にかけた電話について謝ろうと思って。すると友人からゾッとする様な目で見られた。

「…何なんだよ、お前の母親。気味悪ぃ。彼女とデート中電話で怒鳴ってきて害虫だのもう近づくなだの…」

すると他の友人も何の話か近づいてきた。青い顔をしたままこいつの母親ヤバいと話始めた。

取り敢えず本当にごめん…と謝ると逆に同情された。

数週間後、体育祭があった。運動神経には自信あるけど、問題は…

「きゃー!!うちの子よ!ほらほらほら!!格好良い!」

リレーで走ってる最中、ロリータ服を着たおばさんがこちらを見て叫んでる。母親だ。

友人逹は俺の親が過保護と知ってるから、ネタを見るように爆笑している。

走り終えて戻ろうとすると、そのままこちらに走ってきて抱きつかれた。

「流石ママの子ね…素敵よ」

そのまま頬を押さえられて無理矢理キスされた後、嬉し泣きなのか号泣された。

場が凍りついた後、ざわざわと引いてるように周りがどよめく。

ちらりと友人を見ても目を逸らされた。

休み明けに学校に行くと、みんな引いた目でこちらを見ていた。

授業中、何か紙が回ってきた。

『マザコン。お前は母親とデキている』

破り捨てたくなった。怒りより…堪らなく恥ずかしい。恥ずかしくて恥ずかしくて、生まれなければ良かったと後悔する程。

先生から放課後呼ばれた。

「あー…、何て言うかその…」

頭を押さえて考え込んでいる先生。

「こんな事言ったらお母さんに悪いけどな…同情するよ」

ストレートに言われた。今まであまり気にかけなかった先生だけど、正直さに今好感が持てた。

「俺の学校生活、真っ暗ですよね。今後」

「いや、頑張って先生がどうにかするよ」

翌朝、先生が教壇に立って話した。

「お前らな、体育祭の事だけど、こいつの母親は異常に息子を愛してるだけで、こいつ自体は可哀想なやつなんだ。分かるだろ?だから、あんまり苛めてやるなよ」

…あまり真っ直ぐ言うから本当に驚いた。冗談の様に言ったせいか、クラスメートは笑い始めてる。

「ごめんな、そうだよな。びっくりしてさ。あれ冗談だから」

本気で苛めてただろと思いながら。

「本当、このまま苛められたら登校拒否しようかと思ってたよ」

と笑いながら返した。この先生案外凄いかもしれないなと思いながら。

ある日、試験前にソファーで寝転びながらノートを開くと、紙が出てきた。

『ありがとう。家で母ちゃんとラブラブやれよ』

友人に以前ノート貸したとき、挟み込んでおいたんだろう。もう冗談半分と分かってるから軽く流せる。

拾おうとすると、母親に腕を捕まれた。

「手紙?私も見たい…え?」

内容を見て硬直する母親。

「母さんが体育祭でキスしてきただろ?それでからかわれて……」

…母親の顔が真っ赤になってる。えっ?と思った。

「や…やだわ!最近の子は…あの時は嬉しかったから…」

…俺はこの時気づいた。この人、息子としてじゃない。別の意味でも俺を見てる。

…異常者だ。

ゾッとした。どうしてよいか分からない。

「ほら、今日の夕飯はハンバーグよ」

一気に吐き気が込み上げてきた。

どんどん悪い考えが頭を回る。

夕飯に唾液とか混入されてるんじゃないか。風呂上がりどんな目で俺を見てるか。寝るとき部屋にやって来てるんじゃないか。彼女が出来たら殺すんじゃないか…

気が狂いそうだ。

主人が亡くなって絶望しかなかった。

あんなに可愛がってくれた貴方。休みの日には必ずどこかに連れていってくれた。別に記念日でもないのに。それが…私が殺してしまった。

事故だった。あれは…ね。

主人が死んでも一生暮らしていけるだけの遺産がある。でも世の中何が起こるか分からない。贅沢せず普通の生活をするようにした。

外食も月1くらい。あとは全て手作り。

主人が死んでから息子と二人きりになった。この子は私が守らなければいけないけど、いつも精神面で助けられている。

まだ5歳だった息子が逞しく見えていた。

段々息子も成長し、今では学生服が良く似合う、男子高校生。勉強も出来るし運動神経も良い。将来が楽しみだ。

最近、気づいた事がある。私は少し愛しすぎているかもしれない。今まで全く気づかなかった。

でも、ある日いつも通り学校に行った息子のベッドに入り、息子の臭いを嗅いでるときハッと思った。

これは異常な行動かもしれないと。

でも、そう思うと余計エスカレートしていく自分が分かった。止めることが出来ない。

とにかく迷惑はかけない様に極力心がけ、せめて外見だけは綺麗にしようとフリル、リボンつきのワンピースを着たが、ただの危ない人にしか見えないと分かり、止めた。

体育祭の時は息子が眩しくて感動して…思わず抱き締めたところから余り記憶がない。ただキスした感覚だけ思い出せる。

先日、息子の友人からからかいの手紙を見て悟った。私は息子を…かなり不味い目で見ているかもしれない。

「どうしよう…」

本気で悩む。息子が私から離れていくのも分かる。嫌…

医者に相談すると、良くある事と言われた。ヤブだ。友人に相談すると一瞬引かれたから冗談でごまかした。すると分かると言われた。みんな子供が大切らしい。

息子が最近部屋から出ないのが心配。

軽くノックすると叫び声が聞こえる。どうしよう…どうしたら良いんだろ。

私が悪いのは分かってる。だから余計対処法が分からない。

メモをしていた息子の友人の電話番号を確かめると、かけてみた

「…もしもし。母親です…息子が部屋から出ないの…」

部屋でとにかく悩んでいた。どうしよう…とにかくショックだ。実の母親から恋愛感情を抱かれるのは、もうこの世で一番ショックな事かもしれない。死より辛い。

「開けて!!ごめんなさい私が悪かったから。さっきね、お友達を呼んだの」

えっ…?

「開けろよ、学校どうするんだよ、お前」

うわ…もう嫌だ。恥ずかしい。一体なんて説明したんだろ。母親の悲鳴に近い俺を呼ぶ声が、耳を塞いでも聞こえてくる。

しばらくして静かになった。ゆっくり耳から手を離すと、軽くノックの音が聞こえる。

「今、俺しかいないから開けろよ」

ゆっくり開けると、友人が1人で立っていた。静かに招き入れる。

「…聞いた?」

「ああ…お前に恋愛感情があるってバレて…」

ボロボロと俺は泣き出した。

「…最悪だよ。母親が…もう女なんて嫌だ…怖い」

静かに友人は俺が泣くところを見ていた。惨めだ…

「じゃあ……男はどうだ?」

「えっ?」

「ゲイ的な意味で」

「…えっ?」

一瞬で泣き止んだ。

友人に手を掴まれ、目を見られた。

「…お前彼女いるだろ?」

「ああ、あれさゲイだってバレたくないから。フェイクってやつ?彼女も俺と付き合う理由そうだし」

…怖い

「俺さ、正直今凄いチャンスなんだよね…このままさ、お前と将来結婚出来なくてもお前の父親になれば良いだろ?」

俺の腕を引っ張って部屋から連れ出すと、友人は母親に説明し始めた。

「で、貴方も俺と結婚すれば、息子さんに対する感情も多少は薄れると思うんですよね。俺は俺で、愛する息子さんと親子になれて幸せ…良いじゃないですか?」

「そうね…良いかもね。私には相手が必要なのかも」

…母さんっ何でそこ納得するの!?

「じゃあ…俺が大人になるまで待ってくださいね?」

「…はい」

えっえっ

「おかしい…よね?整理するとさ母さんとお前は俺に惚れてて」

「そうね」

「だな」

「で…君たち結婚すると」

「よろしくな」

数年後…

「真理子、まだ出ないのか」

「そうね。でも良いんじゃないかしら。私達が死んでも生きていけるだけお金あるし…それに」

真理子は旦那にスッとキスをすると微笑した。

「あの子は完全に私達の物ね…これで」

怖い話投稿:ホラーテラー 家さん

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愛に溢れた家族ですね(白目)

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いやぁ〜怖いしキモい(´゚д゚`)

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