俺がまだ中学生だった時の話
その日、俺は家族で旅行に来ていた
一通り観光を楽しんだ後ホテルで夕食をすませる
風呂も済ませくつろいでいると、父がある提案をした
「折角じゃけ散歩でも行こうや」
母、俺、姉は賛同したが、妹は断った
こうして俺達は四人で散歩に出掛けた
少し歩いていると小雨が降りだす。母と姉は嫌そうだったが、俺と父は全く気にしない。むしろ湯冷ましには丁度いいぐらいに思っていた
「もう帰ろう」
信号待ちをしながら姉がそう言った時だった。俺達とは反対の車線にいた人が車道に飛び出した
車は急ブレーキを踏むが間に合わない
その人はマネキンの様に宙を舞い車の後方に落ちる
両親と俺は声がでない。姉だけがキャーキャー悲鳴をあげていた
車から出てきたカップルはすぐその人に駆け寄る
だが、その人を見た瞬間、男の方は膝から崩れ落ち、女は泣き出した
「救急車じゃ!」
父が叫んだ
それを聞いた母がホテルに走り出す。父は倒れた人の元へ。俺は父の後を追うが、怖くてあまり近寄れなかった
倒れている男性を見た父は驚愕の表情で
「……A……嘘じゃろ……お前……」
そう呟くと、車を運転していた男と同じように膝から崩れ落ちた
(後で知ったことだが)車に跳ねられた男性は、20年前に失踪して行方不明になっていた父の従兄弟だった
父とAさんはかなり仲が良かったらしく、ずっと気になっていたらしい
「お前……こんな格好でわしのとこに戻ってくるんか……」
そう呟いた父の目には涙が浮かんでいた。その時俺は生まれて初めて父の涙をみた
しばらくして救急車や警察が来た。俺は全く覚えてないが、色々と大変だったそうだ
それ以来家族旅行には行っていない
後日父は
「わしの前で死なんでもよかろうがなぁ」
そう言っていた
俺は偶然とは恐ろしいものだと思った
うまく話がまとめられなかったかも……
仕事が忙しいので、しばらく投稿出来なくなりそうです;
もう戻って来なくていいとか言わないでね
怖い話投稿:ホラーテラー Mさん
作者怖話