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短編1
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奢るよ

その着信は急であった。

それはコンパのお誘いだった。

特に断る理由もない。

と、いうより大歓迎だ。

居酒屋に向かう足もやや浮き足立っていた。

店に着いた。

店員に予約者である友人の名前を告げ、部屋を教えてもらった。

襖を勢いよく開け放つと、よくある光景が目に飛び込んできた。

『おー!遅せーよ』

『駆け付け一杯ね!』

先日と同じ顔ぶれ…。このメンバーで飲むのはこれで二度目。

楽しい一時だった。

『今日は急に悪かったな。奢るから先に出てくれ…。支払い済ますから』

「マジか!?サンキュー。」

一足先に店の外に出て一服していた。

5分くらいしても出てこない。

便所かな…。

更に5分。まだ誰も出てこない。

再び店内に入り、仲間を探したが見当たらない。

そうしてる内に、店員さんと目が合う。私に部屋を教えてくれた人だ。

「…結局、待ち惚けでしたね」

彼らは現実では来ていなかった…。

メール着信のバイブが揺れた。共通の友人からだ。

「いえ…。来てくれましたよ。

事故ったのにね…。

最後に彼らと飲めて良かった…」

怪訝そうな表情の店員さんに背を向けて、泣き顔を隠すように店を後にした…。

次…化けて出てきたら、俺が奢るよ。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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