ある高齢者施設で夜勤をしていました。
一昨日に病院から退院して入所してきたお婆さん。以前、この施設に入所されていた方なので、私たちスタッフも顔見知りでした。
でも、まだ、本当に回復していない状態で、半ば病院のベッドを空けるために追い出されたようなものでした。
重度の認知症で、食事の意味も理解できず、食事もまともに食べられない状態でした。
話すことは出来ますが、会話が全く成り立たない状態です。
昼間に一度嘔吐があったそうですが、夜にも嘔吐があったので、看護師の指示で、ベッドごと見守りの出来るスペースに出して様子観察することにしました。
夜勤は、30分ごとに各部屋を見回りをします。
ベッドを出してから、時間になったので、別の部屋から順番に見回りに行くと、ベッドを出した部屋からナースコールが鳴ったのです。
その部屋は、4人部屋でその中の一人の入所者のベッドの横に、勝手にベッドから立ち上がった時にナースコールが鳴る「センサーマット」を敷いていましたが、その「センサーマット」が鳴ったのです。
急いで部屋に行ってみると、「センサーマット」を敷いている本人は、熟睡中でした。。。
が、何故か、車イスがその「センサーマット」の上に乗っているではありませんか!!
調子の悪い方のベッドを出す時には、確かにその車イスは、「センサーマット」を敷いている方の足元にあったのです。
しかも、その「センサーマット」の上に乗っている車イスは、しっかりブレーキがかかっていたのです。
気味が悪いので、「センサーマット」を敷いている方を起こして、車イスを動かしたかどうか確認しましたが、全く寝ぼけた受け答えしかできず、到底動かしたとは思えません。
車イスなしでは、歩けない細い方なので、「センサーマット」を踏まずにブレーキのかかった車イスを動かすのは不可能です。
嘔吐した方は、夜中と朝方にも嘔吐を繰り返し、朝には、呼吸が乱れていました。
医師の指示で、酸素マスクをし、そのまま病院受診となり、その日に病院で亡くなったそうです。
後日、その話を同僚にすると、
「死神が来てたのかも。」
「お迎えに来てたんじゃない。」
「スタッフに最後の別れに来たのかも・・・。」
「亡くなる人は、誰に看取られるか選ぶって言うから、選ばれたんじゃない。」
って、言われました。
こういう施設なので、怪奇現象は多々聞きますし、何度か色々な体験もしましたが、特に不思議だったので投稿しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話