短編2
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お迎え・・・

ある高齢者施設で夜勤をしていました。

一昨日に病院から退院して入所してきたお婆さん。以前、この施設に入所されていた方なので、私たちスタッフも顔見知りでした。

でも、まだ、本当に回復していない状態で、半ば病院のベッドを空けるために追い出されたようなものでした。

重度の認知症で、食事の意味も理解できず、食事もまともに食べられない状態でした。

話すことは出来ますが、会話が全く成り立たない状態です。

昼間に一度嘔吐があったそうですが、夜にも嘔吐があったので、看護師の指示で、ベッドごと見守りの出来るスペースに出して様子観察することにしました。

夜勤は、30分ごとに各部屋を見回りをします。

ベッドを出してから、時間になったので、別の部屋から順番に見回りに行くと、ベッドを出した部屋からナースコールが鳴ったのです。

その部屋は、4人部屋でその中の一人の入所者のベッドの横に、勝手にベッドから立ち上がった時にナースコールが鳴る「センサーマット」を敷いていましたが、その「センサーマット」が鳴ったのです。

急いで部屋に行ってみると、「センサーマット」を敷いている本人は、熟睡中でした。。。

が、何故か、車イスがその「センサーマット」の上に乗っているではありませんか!!

調子の悪い方のベッドを出す時には、確かにその車イスは、「センサーマット」を敷いている方の足元にあったのです。

しかも、その「センサーマット」の上に乗っている車イスは、しっかりブレーキがかかっていたのです。

気味が悪いので、「センサーマット」を敷いている方を起こして、車イスを動かしたかどうか確認しましたが、全く寝ぼけた受け答えしかできず、到底動かしたとは思えません。

車イスなしでは、歩けない細い方なので、「センサーマット」を踏まずにブレーキのかかった車イスを動かすのは不可能です。

嘔吐した方は、夜中と朝方にも嘔吐を繰り返し、朝には、呼吸が乱れていました。

医師の指示で、酸素マスクをし、そのまま病院受診となり、その日に病院で亡くなったそうです。

後日、その話を同僚にすると、

「死神が来てたのかも。」

「お迎えに来てたんじゃない。」

「スタッフに最後の別れに来たのかも・・・。」

「亡くなる人は、誰に看取られるか選ぶって言うから、選ばれたんじゃない。」

って、言われました。

こういう施設なので、怪奇現象は多々聞きますし、何度か色々な体験もしましたが、特に不思議だったので投稿しました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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