「あなた、聞きましたか。浅野内匠頭が殿中で吉良上野介に切りかかり、やりそこなって切腹を命ぜられたとか・・・・・・・・・。」
「聞いたとも。面白くなりそうですなあ。なるといい。かたき討ちに発展すべきだ」
「集団でのかたき討ちは、法で禁止ですよ。」
「法なんか、なんです。おれたちは娯楽にうえてるんだ。おれたちはいつも武士にぺこぺこしている。その代償に、武士はあっということを見せてくれるべきです。」
「そば屋さん。あんた商売へたですね。きっと赤穂の浪士でしょう。ほら、どきまぎした。かくさなくてもいいですよ。われわれは支持者です。期待してますよ。がんばって下さい。そうだ、わたしの知合いに、吉良家に出入りの商人がいます。こんど情報をもらってきてあげますよ」
「うちには吉良家の図面があったはずだ。お貸ししますよ。派手におやんなさい。想像するだけでも、うずうずするなあ」
「ぐずぐずしていると、吉良老人が死んじゃいますよ」
「とうとうやりましたなあ。胸がすっとしました。浪士達は切腹だそうですな」
「法をおかしたのだから仕方がないでしょう。いさぎよいところがいいし、ひと区切りもつく。生きてられて威張られちゃかなわん」
「また、なにか起こってほしいですな・・・・・・・・。」
怖い話投稿:ホラーテラー ジンさん
作者怖話