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中編4
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金のいいアルバイト

湾岸戦争から今年で何年になるかな?

湾岸戦争がおきた頃、私は高校を卒業して就職もせず今で言うフリーターでした。

その時によく遊んでいたバイト仲間の一人が、金のいいアルバイトがあると話を持ってきました。

バイト先は、関東の米軍基地で仕事内容は聞いていなかったけど、とにかく金がいいということで私は、話に飛び付きました。

金を稼いで東京で遊ぼうと仲間5人でバイトに行ったのですが、バイト先の米軍基地に行って愕然としました。

バイトの内容は、湾岸戦争で戦死した米兵の死体は、あまりにも損傷が酷いのでそのまま遺族の元に帰すわけにもいかず、安全な日本の基地に遺体を持ってきて遺体を修復する作業でした。

バラバラになっている腐りかけの遺体を針と糸で縫ってつないで化粧をしたり、腐って蛆のわいた遺体の蛆を取り除き消臭消毒作業、私が米兵に作業するように言われた遺体は、黒焦げで半分、炭になった黒人米兵の遺体でした。私は黒焦げ遺体を前に「こんなのどうしろと言うねん!」と言って結局、何もできませんでした。

金がいいだけあって臭い、汚い、きつい仕事で、何よりも精神的ダメージが辛かった。

私達を監視する米兵でさえ、こいつらこんな事よくやるなぁ!と呆れた顔をしていました。

流石に米軍基地だけあって米兵が、気を使ってくれたのか?毎回ランチにタウンページほどあるようなステーキを出してくれたけど食べる気しませんでした。

私達は、結局1週間で仕事をギブアップしましたが、1週間のバイト代で20万円位あったのを覚えています。

私達は計画通り、東京に行って豪遊する事にしましたが、私はバイトを辞めた日から体調を悪くしてしまい、体がだるく頭痛と吐き気が酷いので、私一人だけ先に帰ることにしました。

家に帰ると母が出迎えてくれて母は、私の顔を見るなり「あんたは何処で何をしてきたん?おばあちゃん!おばあちゃん!」と叫んで祖母を呼びました。

祖母がやってきて私の顔を見るなり「えらいこっちゃ!あんたは、えらいもん連れて来たなぁ!早く家に上がって仏壇の前に座り!」と真っ青な顔をして言うのです。

祖母は若い頃は、拝み屋だったそうです。

訳のわからないまま、家に上がり仏間に向かいました。

仏壇の前に母と祖母が座り、私は少し離れたところに座りました。

祖母は、私に「ええか!手を合わせて目えつむって終わるまで何があってもそのままでおりや、絶対に目を開けたらアカンでぇ!」そう言って母とお経?みたいなあまり聞いた事のない経文を唱えだしました。

どのくらいたったのか2時間もしくは3時間位かかったのか?経文を唱えて祖母が疲れたら母だけ唱え、母が疲れたら祖母が唱えていました。

私は、目を閉じて手を合わせていましたが、やがて体に激しい揺れを感じました。

私は(地震か?)と少し焦りましたが私の前で母と祖母が何事もないように経文を唱えています。

やがて揺れもおさまり祖母は私に「もう大丈夫やから目え開けてええぞ!」と言いました。

祖母は、私に「あんたあんな外人のオバケをどこから連れてきたんや!外人やから説得すんのに苦労したわ。」私は、バイトの事を祖母に話したら大目玉をくらいました。

私は祖母に「さっきえらい揺れたけど地震でもあったんか?」と尋ねると祖母は母と顔を見合わせて「あんたが連れてきたオバケは、一人じゃなかったんよ、もう一人真っ赤な顔した鬼のような男のオバケもおったんよ、でもあれは人と違う。」

「人と違うって?じゃぁ何?」

「わからん!あれが魔物かもしれんのう、うちが経文唱えとる時に、あの男はお前に向かって一緒に来い!一緒に来い!と体を揺さ振っとった、でももう追っ払ったから安心してええよ」と言いました。

祖母は、最後に「お前に憑いてた外人のオバケも、あの魔物に取り殺されたんや、お前は、早く帰って来たから助かったんよ、そやないと今頃お前も取り殺されてたかもしれん!お前の友達も無事ならいいが」と言いました。

後日この事を一緒に行ったバイト仲間に話ましたが、誰も信じませんでした。

そのバイト仲間もその後に一人は首吊り自殺し、もう一人は失踪して行方不明、もう一人は精神を病んで入退院を繰り返し、無事なのは私と実家の寺を継いで住職になった杉山だけです。

他のバイト仲間は、あの魔物の影響を受けたのでしょうか?

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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