私が中学生だったころ、金閣寺を更に奥に向かった山あいにある家に引っ越ししました。両親は良い所に越したなぁと口々にしてましたが、ご近所さんの反応は冷ややかでした。
挨拶回りに行くや否や、「畳が盛り上がったら絶対に引っ越しして下さいね…悪いことは言わないからね」と皆が口を揃えて忠告します。
さすがに両親も不安を隠せず、業者に軒下を点検してもらったようですが、特に異変はないようです。そして、私が高校三年を迎えた頃に、それは現れました…
八畳ある畳の内、真ん中辺りが微妙に盛り上がってるのを母が発見し、私も帰宅した時に畳の盛り上がりを目撃しました。
恐いもの見たさもあったのでしょう…
私は、畳の盛り上がってる部分を、思い切って剥がしてみることにしました。
畳を捲ってみた私は、一瞬何だこりゃ… ビビる程でもないわと呆気にとられました。
竹です。若竹が1カ所に畳を突き破りそうなぐらい生えていたのです…
この事を父に伝えると、真っ青になりました。たかが竹が生えてきただけなのに…
畳の下から生えてる、若竹を目撃した一週間後、私達は引っ越ししました。
ご近所さんに、引っ越しの挨拶に行った時、やっぱりなぁ…と言う顔をされながら「生えてきましたか?」と言われ、両親は「軒下から竹が…」と答えると、初老の方が「畳を突き破らなくて良かったですね…竹が畳を突き破ってからでは遅いですから」と言われました。
どうやら父も、軒下に植物が生えてくるような家は不吉だとわかってたらしく、特に、竹が生えてくるような家は必ず不幸になると祖母から聞かされてたみたいで…
私達が越してくる前に、六人の方が変死されてるのを聞いた時、初めて畳の下から生えてる竹に驚愕した私でした。
その家は、今でも空き家として、新たな入居者を心待ちにしてるであろう…
長文失礼致しました。
怖い話投稿:ホラーテラー 部長.痴魔芋作さん
作者怖話