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中編3
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夏の肝試し

このお話は10年くらい前に体験したお話です。

当時、フリーターのため日中はバイトをし、夜から朝方まで遊ぶような毎日でした。

若かったこともあり地元のバイク仲間と一緒にコンビニで暇をもて余していたら一人の先輩が「おい!肝試ししようぜ」と言い出し男5人でバイクに乗り、近くの神社に行くことになりました。

季節は夏。時間は深夜1時頃です。

僕は少し霊感があるので正直、乗り気ではなかったのですが・・・。

そんなこんなバイクを5分程走らせると神社に着きました。辺りは街灯も少なく真っ暗です。

肝試しにはもってこいの場所かもしれませんが、何せ怖いです。

その神社は高台にあるため正面の長い階段を上らなければなりません。

まずは皆で階段を上り神社に到着。ごく普通の神社です。ただ明かりがないため怖いことは怖いのですが、ヤンチャな男5人組なので全く怖くありませんでした。

すると一人の先輩が「今からゲームをしよう」と言い出しました。そのゲームと言うのは、じゃんけんをして負けた人から順番に一人で神社に行って自分のタバコをバイクのヘルメットに置いて来るというゲーム。

正直、ふざけんなと文句を言いたかったのですが先輩が言い出したので渋々ゲームをやることになりました。

皆でじゃんけんをすると僕は2番目に行くことになりました。

一人目が難なく戻って来ると、ついに僕の番です。怖がりだからか階段を上る足が重かったのを覚えています。

階段を上り、自分のタバコを置いて戻ろうとした瞬間、神社の建物に向かって右前方から「うふふふふ」と子供の笑い声が聞こえました。声の感じは男の子か女の子か区別がつかないような声です。

こんな深夜に子供が居るはずないと思った瞬間、鳥肌が立ちました。

怖くて怖くて小走りに皆の元へ戻りました。ただ、子供の声が聞こえたことは黙っていました。

残りの人も同じようにタバコを置き、何事もなくゲームを終えました。

5人揃ってタバコを確認しに行くと、タバコは4本しかないのです。

4番目に行ったK君のタバコがない。当然のように皆で口を揃え、「怖くて置いたふりをしたんだろ」などとK君をからかうのですが、最後に行った友達が「いや、確かに俺が行った時は4本あったよ」と言い出しました。

携帯の明かりを頼りに周辺を探しましたが結局タバコは見つかりませんでした。

このまま神社にいるのも・・・と一先ずコンビニに戻ることになり階段を降りている途中です。

急にK君が「呼ばれてんだよ!」、「行かなきゃいけねぇんだよ!」と叫び始め階段を上りだしました。

皆を怖がらせるための演技だと誰しも思ったに違いありません。

しかし、どんどん階段を上るK君を見てやっと気付きました。

あれは普通じゃない。何か憑依している。

そう思っていると先輩がK君の所へ引き止めに行きました。すると先輩が「皆来てくれて!こいつ凄い力だ!」と僕達を呼ぶのです。慌てて先輩の元へ行き皆でK君を押さえるのですが、びくともしません。

男4人で押さえつけるのですがK君は階段を上り続けるのです。しかも叫びながら。

これはヤバイ!と思っていると先輩がK君の顔をビンタしました。

K君は放心状態になり口を開けたまま真っ直ぐ前方を見ているだけ。

怖くなり明るい場所を求めコンビニに戻りK君に状況を聞きました。

全く記憶がないらしく気付いたら頬が痛かったとのこと。そりゃ喧嘩が強い先輩がビンタしたから痛いに決まっています。ただ妙なことをK君が言いました。「全然記憶がないんだけど、小さい子供に呼ばれたんだよ」と・・・

それを聞き僕はゾッとしました。あの神社で聞いた子供の笑い声。もしかしたらその子供がK君を呼んでいたのかと思うと全身寒気がしました。

その後、何事もなかったかのように帰宅し床に着きました。

しかし、この話には後日談があります。

肝試しをした4、5日後にK君はバイクで事故に遭い亡くなりました。

肝試しとK君の死が関係しているかは分かりませんが、それから肝試しの誘いがあっても断るようにしています。

これを読んだ皆さんも肝試しは控えて下さいね。

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結局K君は連れていかれたのかねぇ。
可哀想に…

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