中編3
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LINE

Lineで遠く離れた鹿児島の友達に雪国の道路はどうなっているのかを、あえてホワイトアウトしている時を見計い、車で運転中にビデオで撮影して送信してみた。

車のライトに照らされた真っ白い空間、時折姿を見せる電柱だけが車が走行しているという証になる。

運転中にそのような行為は危ない。ましてや猛吹雪の前の見えない状況では、画面を見て確認しながらなんて走行は出来ない。なので画面を見ずに撮影した。撮影時間は2分位で、ちゃんと撮れたかなんて気にせず送信する。

Lineに返信が来たようだが、今は見ている余裕がない。目を離した隙に前方に何が出てくるかわかったもんじゃないからだ。それほどまでに吹雪がすごいのだ。時折姿を見せる電柱で見える距離はせいぜい10メートル、時々3メートルといったところだ。

家までは30分位走れば着くはずなのだが、かれこれ1時間は経つだろうか…

吹雪もおさまる様子がない。

家に行くにはこの道から横道に入らなければならないのだが、この吹雪じゃ曲がる所が見えない。とりあえず自分がどこにいるのかをGPSで確認する為、後続車が確認できるか不安だったがハザードをあげ車を停車させる。

画面を見ると“Lineにメッセージが届いています”と表示があったが、今はそれどころではない。素早く地図アプリを起動させ、位置を確認する。

「え?」

思わず声が出てしまった。GPSではまだ曲がる所にすら来ていない。時間的にはもう通り過ぎていてもおかしくはないのに…

後続車が来ると危ないので発進しようかとも思うが、後ろもろくに見えない状況では発進すら危なくて出来ない。どうしようか迷っている時にふと思う。時刻は午後9時を過ぎた頃なのに、対向車もなかったし、止まっている間も後続車がこなかった。いくら吹雪で前が見えなくても、ヘッドライトを見逃すはずはない。不思議におもうが、こうも前が見えないのであれば誰も運転しないのだろうと勝手に解釈し納得した。

「しかたない。このまま吹雪がおさまるまで待とう。」

暫く待ったが吹雪もおさまらないし、走っている車も見かけない。

暇なので、lineのメッセージが来ていた事を思い出し、外の白い景色から携帯に目を移す。

すると画面いっぱいに“lineメッセージが来ています”と表示があった。

さっきの動画の感想だろうと思い、わくわくしながらlineを開く。

“大丈夫なのか!?”

“おい!!大丈夫か!!!”

“無事だったらすぐ連絡よこせよ”

“冗談だろ?”

“頼むから冗談って言ってくれ”

「は?」そんなに心配しなくてもいいのにと声が漏れる。あまりに心配しているので、“大丈夫だよ、それより真っ白でしょ?”と送信する。

×表示がでて送れない。何度やっても送れない。GPSは正常なのにlineが送れない。心配している奴には申し訳ないが、しばらく待ってから送信しようと諦め、先程撮った動画を確認する事にした。

フロントガラスに映る真っ白い風景と車のエンジン音、時折姿を現す電柱。しばらく同じ画がなれ、ちゃんと撮れている事に満足し、停止ボタンを押した。

停止された画に疑問を感じた。フロントガラスに映る真っ白い風景…に赤いランプが上の方に見える。

「あれ?信号機っぽいな…」

停止された画からまだ20秒ほど録画が残っている。だが再生ボタンを押す気になれない。

何故だか解らないが、赤いランプを見た瞬間から手が震えているからだ。

先程確認したGPSでは信号はまだ先のはずだし、来るときは絶対になかったと思う。

赤いランプなんて後部座席にあるのか?そんなはずがないのは解っているが、思わず後ろを確認する。

ない…

前を向き直った拍子に停止ボタンの真上にあった指が画面に触れてしまい動画が再生された。

赤いランプが真上を通過した直後だ。

右側から大型車…

激しく回転する景色…

ガラスを突き破る音…

画面の半分を覆い隠す雪…

ライトに照らさた赤黒い自分…

画面から目を離し、まだ収まらない真っ白い世界を見て思う。

“早く、帰りたい”と。

Concrete
コメント怖い
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ごめんなさーい(T_T)
いつもコメントを先にしてしまうので、その後の怖いを付け忘れてしまいます(T人T)

返信

うわぁ〜ΣΣ(゚д゚lll)!
ホワイトアウトがどの様なものかは分からないですが、辺り一面真っ白な世界なのでしょうね(T_T)

流石です。
ラストまで展開が読めず、メチャクチャ怖かったです(T_T)

返信

oh....怖かった。札幌市民なもので。
雪道運転が余計怖くなりました〜。

雪国住まいとしては 吹雪、ホワイトアウトの情景が浮かびやすいのと、
身近なツールであるLINEを用いる事によって、非常に移入しやすかった。

赤いランプの辺りでお化けクルーー!
と思ったけどまさかのどんでん返しで
良い意味でドッキリしました。ナイス。

返信

【山口敏太郎2013年12月怖話アワード動画書評より】

LINEをつかった怪談というのは、今後増えていくと思います。創作怪談、実体験含めて増えていくと思います。

デジタルに霊的なものが憑きやすいという考え方があります。明治時代には電話という新しい最先端のものに霊がでるんじゃないかといわれ、その霊と人間を見極めるために電話では「もしもし」と2回呼んだ。妖怪とか幽霊は反復言葉が言えませんからね。それで反復言葉が広がったという話があります。今回はLINEという新しいものが使われています。今まで、電話に幽霊が憑き、車が昭和初期に一般に広がり始め、幽霊タクシーみたいなものが昭和中期ぐらいからうまれてますね。幽霊自動車は昭和初期からありましたね。そのうち、写メやプリクラに霊が写るとか、パソコンのネット回線を使って霊が移動してくるとか、死者がチャットをするとか、死神がブログをやるとかいろいろありました。

今回はLINEというところが非常に新しいですね。非常にこれいいんじゃないですかね。携帯で何か不気味なことが起こるというのをLINEに置き換えている。オチはネタバレになるので詳しく言えないのですが、どんでん返しがきいていて素敵な作品だと思います。

他の作品の書評はこちら http://blog.kowabana.jp/133

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あゆ様
コメント有難うございます。
思いついてしまうと、すぐ書かないと忘れてしまう鳥頭なので(笑)臨場感でてましたか、よかった。嬉しいです。また気にいってくれるような物を考えますので、また宜しくお願いします。

らいと様
コメント有難う御座います。
そこまで読み取ってもらいすごーく嬉しいです。最近はスマホをいじりながら運転している人をよくよく目にします。大抵ブレーキが遅れたり、信号が変わっても発進しなかったりと迷惑な運転です。大事に至らないからまだいいものの、もしそれが原因で悲しませたり、悲しんだりしたら?と考えて欲しいという願いも入っています。だらだらと長い返信ですみません。ライト様の次回作‼︎本当に楽しみなんです。心に残る作品なんですよね、続き物なんですが、読み返さなくても頭に情景が残ってるのです。私もそのような物が作りたい。と思ってるのですが無理です(笑)

返信

日常の一部となったLINEに映し出された非日常。最後の一行がそれに対する不安、恐怖、現実逃避、家庭、生活、救済への祈り、あがき、すべてが含まれていているように思え、シンプルながら深さと美しさを感じました。欲求不満さんの創作作品の中で一番好きです。

返信

思い付きでこれだけの臨場感あるお話が書けるなんてΣ(o''д''o)
面白かったです。
また違うお話楽しみにしてます。

返信

山田太郎様

コメント有難うございます。面白いって言葉は本当に嬉しいですね。
今後も面白いと言ってくれるような作品を作ろうと思いますのでよろしくお願いします。

あんみつ姫様

いっき読み有難うございます。
あんみつ姫様の作品も読みましたが、とても綺麗な文章で好きです。
私もあんみつ姫様のように綺麗な文章が書けるよう精進致します!!

龍悟様

コメント有難うございます。龍悟様のようにシリーズ物を書きたいのですが、私にはその才能がないようです(笑)
最後の展開でゾクゾク感をもっと出したかったのですが、ゾクゾクしてくれて嬉しいで す。

まめのすけ。様

コメント有難うございます。お褒めの言葉有難うございます。
それにしても、まめのすけ。様は本当に丁寧な方ですね。私にはその作品の感想や考えをそこまで言葉に表せません。
そしてまめのすけ。様のコメントは見ててほっこりします。
画像は作るの好きなんです(笑) なにか送る手段があり、私の作った画像でよければ喜んで作りますよ。

uniまにゃ~様

コメント有難うございます。ドリフトですか?昔シルビアに乗っていた時はやってましたね(笑)
私は札幌に住んでいますが、中道で春の雪解け道なんかではよく埋まっていますw
それよりも、ブラックアイスバーンの この時期は毎日恐怖しております。

返信

雪山はドリフトしに行くぐらいですが…
住んでみたくはないですねぇぇ

だって、埋まっちゃったら怖いもん(・・;)

仲間と行かないと不安だもん…(T_T)

雪…こえぇぇ…

返信

最後のオチが……!

これ以上ないくらいにガツンときましたね!

今やスマートフォンが普及し、ラインは誰しもが簡単に扱えるサービスとなりました。身近にあって、誰しもが使える。私達はそれを勝手に「安全なもの」として見てしまいがちですが、実はそうではないのですね。

自分の死が宣告される瞬間に叶う恐怖はないと思います。変な話、殺される瞬間より恐ろしい。じりじりと足音もなく、近付いてくる死の恐怖に、耐えられる人間なんているのでしょうか。

クオリティの高い、素晴らしい作品だと思います。今までは話を投稿する側におりましたが、皆様の作品を読ませて頂き、更に勉強していきたいと思います。

それにしても。欲求不満さんの画像、いつ見ても素敵です(笑)。つい凝縮してしまうほど、私のツボです(笑)。

返信

怖いです…最後の展開はゾクゾクきました!

返信

臨場感あふれる内容。どうなるのかしらと思いつつ、
一気に読みました。

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面白かったです!ホワイトアウト、LINEのメッセージのやりとりが新鮮でした。

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