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中編4
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おつまみ怪談

*僕だけがビビリまくっているリアル体験談。

お酒に添えられるピスタチオの様に、数ある怖話の小休憩位に、お楽しみ頂けたら幸いです。

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切っ掛けは、TVの心霊特集で紹介された、1枚の心霊写真でした。

場所の特定されていない、出所不明の写真が画面に映し出された時、

「※※(県名)だ!!」

…予期せぬ言葉が自分の口から飛び出したんです。

ちょっと驚きました。

僕は零感人間ですし、心霊写真の中の霊を見付けるのさへ、●ォーリーを探すより下手くそな人種です。

しかも僕が口にした名の県は、僕とは縁もゆかりも無く、行ってみたいとも思った事がありませんでした。

ただ、その県名を口にした瞬間から、猛烈にその写真が…正確にはその場所が怖くなり、僕はTVを消してガタガタと震えていたのを憶えています。

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あ~、怖かったぁ…で終わる筈だった、この出来事。

どうやら何かの始まりだった様で、何の因果があるのか…どんな縁があるのか分かりませんが、何故かそれ以来、※※県に[呼ばれている]みたいなんです。

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その恐怖が再び訪れたのは、偶然取れた連休を利用して、前々から行ってみたかった九州に行こうと思い立った時でした。

休みの朝、突発的に思いついた、無計画な行動でしたが、平日だし、シーズンオフだから宿も新幹線の座席も、簡単に取れるだろうと軽い気持ちで行ったんです。

そんな浮かれ気分に冷水を浴びせたのは、切符売場で対応してくれた窓口嬢。

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「九州方面の喫煙席は、満席ですね…※※県方面の喫煙席なら空いてますよ。そちらにどうですか?」

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※※県、東北なんですが。

僕が行きたい九州と真逆なんですが。

そもそも新幹線の切符買うのに、窓口で指定した県名以外の県名言われて、そちらにしたら?なんて言われたの、初めてですよ。

窓口嬢は、僕が仕事で行くのか遊びで行くのかさへ、知らない訳ですし、まして行き先を今朝決めた突発旅行である事なんて、分かる訳がありません。

最もその時の僕は、[※※県]の一言で、得体の知れない恐怖に襲われ、歯の根も合わない程震えていた為、窓口嬢に突っ込みを入れる余裕はありませんでしたが。

…そんなこんなで切符を買うのも躊躇して、一旦売り場から離れたのですが、待ち構えていた様に駅員さんが寄ってきて、

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「※※県行きの乗り場ならアチラですよ。」

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と気さくにご案内してくれ様とします。

因みにこちらの駅員さんは、チケットを巡る僕と窓口嬢のやり取りは知りません。

たった今、ホームの方から改札を通って僕にたどり着いた人ですから。

この人の一言で完全に怖くなり、ヘタレな僕は旅行自体を断念して、トボトボと家路に着きました。

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それからも、何かと付きまとう[※※県]と、訳の分からない恐怖心。

3等の折り畳み自転車狙って、申し込んだスーパーのキャンペーンで、※※県の温泉が当たったり(奇跡の1等でした)、もう何年も連絡の途絶えた知人から、※※県に住んでる……遊びに来ないかと執拗に誘われたり、会社の僕の書類の端だけに『※※県○○○○○(人名)』という走り書きが印刷されていて、書いた該当者無し……そもそも※※県の出身者・縁者無しで、皆が首を傾げるというおかしな事があったり…………。

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極めつけは、道端で知らないオバチャンに突然話し掛けられ、

「貴方、※※県行きなさいよ!良い事あるわよ!」

と、怖い笑顔でお奨めされたり…。

こんな事が続いて、遂に僕の心に恐怖とは違う、怒りが宿り出しました。

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行って白黒付けてやる!!

大体、県名1つにビビリ過ぎなんだ!!ただの偶然が重なっただけなんだから!!

…と、自分に言い聞かせ、一念発起して※※県に出掛け様と思った途端…

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「その旅行、止めた方がいい!!悪い予感がする!!」

「死にたくなったら、脚を向けろ。そうじゃないなら、止めておけ。」

「駄目だ、絶対に行かせない…行ったらお前、還ってこれない。」

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………と、同僚・友人・同居人という3人の霊感持ちサマに、待ったを掛けられてしまいました。

何で3人、日付も時間も場所さへもバラバラに話したのに、同じ方向性のご回答なんだ…

てか、行ったら還れないとか何?死ぬの?

何で死ぬんだよ?

と、恐怖全開の涙目で伺いますと、3名サマは各それぞれが次のご返答を下さいました。

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「「「そこがお前の終焉の土地だから。」」」

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………かくして、僕は未だに※※県には足を踏み入れておりません。

そして、悲しいかな、あのTV放送を目にしてから、少なくとも10年以上は経ったと思うのですが、未だに僕と※※県の戦いは続いております。

Concrete
コメント怖い
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ネタバレ注意
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お、おつまみのレベルを超えた恐怖ですね…ひ…

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