ストーカー イン ブリーフ

中編4
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ストーカー イン ブリーフ

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「わたしはねー、ん~っと、トランクス派かな」

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そう言って、化粧の濃いママのアケミが、吸いかけのタバコを灰皿においた。

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「ルミはどうなの?」

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アケミが、隣で微笑む花柄のワンピースを着たロングヘアの女性にふる。 

目鼻立ちのはっきりした美形だ。 

歳は20台後半くらいか。 

ただ何か幸薄い雰囲気を醸し出している。

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「そうですねえ……」

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肩にかかった髪をいじりながら、ルミは目の前に座っている3人の男性の顔をサッと見渡すと、サラリと言った。

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「ブリーフ派かな」

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一瞬の間の後、一同は大爆笑。

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「え!何で?何でおかしいの?」

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ルミは顔を赤くしながら、焦りまくっている。

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「ウソやろ、、、ブリーフなんてキモくないか?」

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作業着姿のピアスをした若い男が隣に座っている同じ作業着を着た角刈りの男と、一緒に笑っている。 

その向こう側に座る色白の坊っちゃん刈の男も、顔を引きつるようにしながら、ニヤニヤと笑っている。

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繁華街の雑居ビル1階にあるスナック「アケミ」

月曜日。 午後11時。 

カウンターだけの小さな店。

今日は、彼氏に履いてもらいたいパンツは?という

くだらない話題で盛り上がっていた。

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「じゃあ、俺たち、明日早いから帰るわ」

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作業着の男二人は会計を済ませ、店を出た。

カウンターを片付けているルミに、アケミがこっそり耳打ちする。

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「ねぇ、あなた、シゲルくんに何か話しかけてあげなさいよ」

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シゲルというのは、カウンターに残った、色白の男だ。 

1年前くらいからのお客で、最初の頃はポツリポツリとしか来なかったが、ここ2、3カ月は週4日必ず来ている。 

詳しく言うと、月水金土の夜10時から。 

これはルミの入る曜日と時間なのだ。

どんなに鈍感な女性でも、間違いなく自分に気があるということに気付くはずである。

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シゲルは今年、40歳。

もちろん、彼女はいない。

流行りの言い方をすると、彼女いない歴=年齢というやつだ。 

趣味はアニメ鑑賞。 

特にエバンゲリオンの大ファンで、以前、ルミの「わたしもエバンゲリオン好きよ」という言葉で、シゲルはますます彼女にはまってしまったようだ。

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「ねえ、シゲルさん、ラングレーのフィギュア、持ってる?」

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ルミが笑顔で尋ねる。 

ラングレーというのは、エバンゲリオンの登場人物だ。

シゲルは俯いてしばらく考え、どもりながら答えた。

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「レ、レイなら、あるけど、ラ、ラ、ラングレーはないなあ……ご、ごめん」

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と言って申し訳なさそうに下を向く。

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「別に謝らなくてもいいのよ」

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ルミはおかしそうに笑った。

その後しばらくして、シゲルは会計をしてから店を出た。

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ルミはスナック「アケミ」から歩いてすぐの、古いアパートに一人暮らしをしている。 

昼は近くのコンビニで働き、週4日は夜、「アケミ」に勤めている

一間くらいの申し訳程度の居間と台所が、ルミの城だった。 

店から帰るとシャワーを浴び、軽く食事をしてから、押し入れから布団を出し、携帯をいじりながら寝る。 

そんな単調な毎日を繰り返していた。

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だだちょっと最近、奇妙なことが起こっていた。

朝、仕事に出かけるときと、夜、「アケミ」から帰ってきたときと、部屋の様相が違う気がするのだ。

はっきりとどこがどう、ということは言えないのだが、何か違和感を感じるのである。

そこで一度、わざと居間のカーテンを開けっ放しにして、朝、出かけてみた。 

店のない曜日だったから午後8時にはアパートに帰った。 

入り口の戸を開けた瞬間、ルミは愕然とした。

なぜかカーテンはきちんと閉じられていたのだ。

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「どうして……」

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ルミは背筋が寒くなった。

その日彼女は気を紛らわすため、缶ビールを3本飲んだ。 

入り口の破綻を何度となく確認し、早々と布団を敷いて寝た。

しばらくは怖さのため、寝付けなかったのだが、ビールが効いたのか、やがて寝入った。

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どれくらいの時間が過ぎた頃だろうか、ルミは変な物音で目が覚めた。 

何かガサゴソというモノが擦れあうような音だ。

枕元の時計を見る。

 午前2時5分……。 

音は間違いなく外からではなく、部屋のどこかから聞こえてきている!

彼女は上半身を起こし暗闇の中、懸命にその音の先を探った。 

そして、ようやくその出所に行き着いた。

押入れだ!!

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立ち上がって電気を点け勇気を振り絞り、押し入れの襖をそっと少しづつ開けた。 

上の段はいつも布団を置いているところ。 

音は間違いなく、下の段の奥から聞こえてきている!

心臓はバクバクと早鐘のように鳴っていたが、彼女は思い切って奥を覗いた。

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――???

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shake

「いやああああ!」

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悲鳴とともにルミは尻もちをついた。

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押し入れの奥の暗闇の中で、色白の男が体育座りをしていた。

ブリーフ一枚だけしか身に着けておらず、片手にフィギュア人形を持ち……。

傍らには、食べかけのスナック菓子やペットボトルが、散乱していた。

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それはシゲルだった。

彼はゆっくりと押し入れから出ると、へたり込むルミの前に仁王立ちし、

右手に持ったラングレーのフィギュア人形を、彼女の鼻先にゆっくりと突きつけた。

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@むぅ
た、確かに、そうですね(´`:)

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@ロビンⓂ︎
ざーんこーくなーてんしのよーにー♪

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