『スサノオ伝説』
~暴れん坊の罪と功績~
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度重なる笑えないイタズラを繰り返し、遅すぎる失楽園となった大魔王ことスサノオは、葦原(あしはら=下界)へ降りてきました。
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ある日空腹に襲われたスサノオは、たまたま出会ったオオゲツヒメという神様に食べ物をねだると、
心優しいオオゲツヒメはスサノオにエサ…じゃなくて、ごちそうしてくれました。
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けっこうな量のごちそうを振る舞われ、素直に喜んでいればいいのに、スサノオは産地を気にします。
国産無農薬こそ至高!
輸入品なんてもっての外!
とでも言わんばかりの意識の高さです。
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やることは豪快なのに食には繊細という、何処ぞの食通の陶芸家みたいなスサノオは、オオゲツヒメが何処から食材を調達しているのかを調べようとしました。
CIAのエージェント顔負けのステルススキルでオオゲツヒメの後をつけ、他所様のキッチンを覗き込みます。
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なんと、キッチンのオオゲツヒメは自分の目や鼻、お尻から食材を取り出し、ハミングしながらクッキングをしているではありませんか!
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目鼻のみならず尻からまでも……なんと斬新な自給自足でしょう。
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そんな、一部のアブノーマルしか喜ばないおもてなしにスサノオはブチ切れ、オオゲツヒメを勢いで斬り殺してしまいます。
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恩を仇で返されたオオゲツヒメの遺体からは、蚕(かいこ)や稲などが湧き出て、皮肉にも下界はそこそこ潤いました。
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その後、スサノオが宛もなくプラプラしていると、出雲の国のとある川の川上からお箸が流れて来るのを見て、
「誰かおる!(確信)」
と、小学生探偵並の抜群の推理力を発揮したスサノオは、すぐに川の上流へと向かいます。
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そこには、男泣きに泣くおじいさんがいました。
何で泣いているのか訊くと、おじいさんは答えます。
「山に棲む八岐大蛇(やまたのおろち)が娘を食いに来るのです」
そう言って、自宅の屋根に刺さった白羽の矢を指差しました。
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このように『白羽の矢が立つ』というのは、生贄に選ばれるということなので、良いことでは使わない方がいいです。
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その生贄に選ばれた娘がバチクソ美しかったので、スサノオは
「ソイツをやっつけるから娘をくれ」
という、人の弱味につけこんだ交換条件を提示し、大蛇退治をかって出ました。
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とは言え、大蛇は
『体長:バカでかい』
『体重:めちゃ重い』
『特徴:八つの頭に八本の尾(毒ありそう)』
というハイスペックモンスターです。
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ノープランで戦ったら、とても勝てそうにありません。
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そこは、悪知恵だけならオモイカネをもしのぐスサノオですから、きっちり作戦を立てます。
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まず、大蛇の八つの頭を分断すべく、八つの門を建て、
そこにスピリタスばりの強い酒が入った大瓶(おおがめ)を置いておき、ガンガンに酔わせ、
そして、大蛇が酔い潰れた所を一気に殺る。
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名づけて
『ニョロンニョロンをベロンベロンにしてズバンズバンでテッテレー大作戦』です。
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ある意味、卑怯でしかない作戦でしたが、この作戦が功を奏し、見事に大蛇を討ち取って美しい嫁クシナダヒメを手に入れました。
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また、その大蛇の尾から出てきたのが『天叢雲剣』(あまのむらくものつるぎ)で、
それをアマテラスに今までのお詫びとして贈りました。
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これが後に皇室三種の神器の一つ、草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれるようになりますが、
草彅剛(くさなぎのつよし)とは全く関係ありません。
続く?
作者ろっこめ
ついに古事記の中でも、一、二を争う盛り上がりどころの『やまたのおろち討伐』です!
その結末が、後にも少し影響してくるので、頭の片隅に入れておいていただけると、この後も面白くなってきます。(たぶん)
ちなみに、次回は『出雲の国編』です!