中編3
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間違い電話

明日は日曜日で仕事休という土曜の夜。今日も休みだったわけだが、朝からパチンコして、5万円も負けてしまった。明日の競馬の資金稼ぎと思ったのが間違いだったようだ

給料日まで一週間か…また前借りするか…などと考えながら、俺はテレビを観ながらくつろいでいた。

親から継いだ一軒家に独りで居る

その親も亡くなって今は居ない

家の電話が鳴った

出ると

「さいとうさんのお宅ですか?」

「いえ、違いますよ」

よくある間違い電話だった。

一分ほど経った頃、また電話が鳴る

先ほどとは違う声で

「よしおだけど、たかし?」

「番号間違ってますよ」 またかよと思いながら電話を切る

そして、また電話が鳴った。少し苛立ちながら取り「はい?」と不機嫌な声で出た。今度は女の声

「あの〜、たなかさんのお宅じゃ?」

「なんかの嫌がらせ?いい加減にしてくれるかな。」ガチャ

叩きつけるように電話を切る

間髪いれず電話が鳴った

チッ、取ると言ってやった

「いい加減にしやがれ、バカヤロー!しつこいと警察に言うぞ」

ドスの効いた声が返ってきた

「警察?上等だ!うちから100万も借りてて、逃げられると思ってんの?」

「…」

「今から行くから待ってろ。す巻きにして東京湾に沈めてやるからよ」

「いや、違うんで…す…」ツーー・・電話が切れた

震える手で受話器を置く。腹から力が抜けていく感じがして、膝がガクガクして立っていられなくなった。全身から汗が吹き出し、寒さを感じてくる

頭が真っ白で逃げるという考えも浮かんでこないでいた

ただ電話を見つめたまま、フリーズしていたのだった

それからしばらくしてチャイムが鳴った

ピンポンピンポンピンポーン

ビクッ!その音に俺は我に還った。

ドアノブがガチャガチャガチャ

鍵は掛けてある

ドアをドン、ドン、ドンと叩きながら、先ほどのドスの効いた声が聞こえてくる「開けろコラ!」

早過ぎる。どうやら近くまで来て、携帯から電話してきてたようだ

「おいお前、逃げられないように裏へ廻れ」

二人以上で来たのは確実になった

「開けろや!」ドン!ドン!ドン!

腰が抜けて立てない

少しでも音から遠ざかりたくて、這って押し入れに逃げ込んだ

ドン!ドン!ドン!ドン!

耳を塞いでいても聞こえてくる

俺は震えながら『ちがうちがうちがうちがうちがう』何度も声に出して言う

『ちがうちがうちがうちがうちがうちがう』

トゥルルルー

ドキッ!!電話が鳴った

トゥルルー・トゥルルー・トゥルル

出ないでいると、留守録に繋がる

「もしもし、よしだだ。居るんだろ?悪かったな。今、人は間違い電話を何度も受けると、どのように心理変化していくか、迷惑がらずに何回まで冷静に対処出来るか、心理学上のデータ集めてるんだっ」 「そこで悪いと思ったが、《すずき》にサンプルになってもらった訳だ。詳しくは月曜に学校で話すよ。じゃ」切れた

ドン!ドン!ドン!・・・「おい、かまわねーから窓割れ」

た・す・け・て・・・・・俺、《すずき》でもない・・

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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