七五三の神隠し。〔下譚〕

中編4
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七五三の神隠し。〔下譚〕

あの出来事から、祝詞の方と連絡を取るようになった私はその頃から霊感が強くなったと思います。ある日、祝詞の方と話していて何の話からその話になったか詳しくは覚えていませんが【三種の神器】の話をしていました。

【八咫鏡《やたのかがみ》】【草薙剣《くさなぎのつるぎ》】【八尺瓊勾玉《やさかにのまがたま》】。何処にあるのかっと言う話になったのです。

天皇家にある物ではなく、各地にある伝承の中の【三種の神器】。そんな話をした夜、夢を見ました。

行ったことのない場所三箇所《県は別々》を順に巡る夢。【小さな祠】【紅い門扉】【竹藪の中】……そこには、各一匹ずつ白い狐が座っていました。

1匹は嬉しそうに歩み寄ってきて。1匹は拗ねたようにそっぽを向いて。1匹は深々と頭を下げて。

本当に不思議な夢で、祝詞の方に話したら。

祝『そこにあるのかもな……【三種の神器】』

私「え?なんで……」

祝『……お前さん、勘だけは【化け物級】だからな』

でも、その時はあまり本気にしていませんでした。だって、夢で見た場所に【三種の神器】があるなんて誰が信じてくれます?

ただ、祝詞の方を信じてなかった訳じゃないです。どちらかと言うと、私は私を信じれませんでした。

そして、また夢を見ました。今度は凄くリアルな夢です。

私は白いワンピースに裸足で森の中を歩いていました。踏んだ土の感触、草木の匂い、風の音……本当に現実でそこに行ったように今でも鮮明に覚えてるほどリアルでした。

しかし、場所の情報は一切なかったのに夢の中の私はその森が【富士の樹海】だと確信していました。

しばらく歩くと開けた場所に出ました。大きな木の前に誰か居ます。

漢服のような和服姿、でも顔がもののけ姫のシシ神でした。

シシ神「人の子よ。お前に聞きたいことがある。

明日、また会いに来る」

そう言われ目が覚めました。また変な夢見たなって思い祝詞の人に伝えると

祝『へ〜 』

私「何だったんだろう?」

祝『シシ神だろ』

私「いや、そうじゃなくて……」

祝『まぁ、何を聞かれるかは知らんが即答しろよ。

じゃないと、殺されるからな』

私「え?」

現実では心臓麻痺でも、夢の中でどんな死に方するかわからんぞって何時になく低い真剣な声で言われ正直泣きそうでした。そんな感じだったので、夜寝るのが少し怖かったですが猛烈な眠気に抗えず眠りにつきました。

夢の中、また大きな木の前にシシ神様が立っていました。

シシ神「よく来たな。人の子よ。

では、答えてくれ……

〇〇様《祝詞の方の本名》がお前の目の前でお前の愛する者を殺したら、

それでもお前はあの方を信じるか?」

私「信じる。そして死にます」

不思議なくらいすんなりと言葉が出ました。「死にます」と言った理由は、祝詞の方を信じるけど愛する者が死んだ世界を生きれるほど自分は強くないからです。

シシ神「っふふ……そうか。気に入ったぞ、人の子よ。

ならば、最期の時まであの方の傍を離れるな……あの方は大事な【アラビトガミ様】だからな」

目が覚めて直ぐに調べました。

【現人神《アラビトカミ》】……「この世に人間の姿で現れた神」。

それから、6日間同じ夢を見ました。真っ暗な迷路の中、私は何かから逃げています。

何から逃げているかは、分かりませんでしたが捕まったらダメだと言うのだけ分かりました。

7日目の昼、それまでの6日間 夢のせいで余り眠ることが出来ていなかった私は軽く昼寝してしまいました。日が高いうちは、あの夢を見なかったからです。

代わりに変な夢を見ましたが……私と祝詞の方はリアルで会ったことは一度もありません。住んでる場所が離れているからです。

でも、夢の中で私は彼と二人きりでお茶を飲みながら話をしていました。

私「夢でずっと逃げてるんだよね……私何から逃げてるのかな…………」

祝「ふ~ん」

私「興味を持ってよ〜!」

祝「絶対に捕まんなよ」

私「……は〜い」

目が覚め、私はなんだか少しホッとしました。夢でも祝詞の方に会って話しをできたからだと思います。

その日の夜は、祝詞の方と通話中に寝落ちしてしまいました。

また逃げている夢でした。でも、その日はいつもと違いました。

まっすぐ進んで曲がり角を右に曲がると、そこは行き止まりでした。私は急いで元来た道を戻ろうとしましたが、時既に遅く何かが角を曲がってきました。

それは真っ黒い人の塊でした。腕を捕まれ「ほしい」「ちょうだい」っと言われゆっくりと引きずり込まれます。

終わった。今度こそ本当に終わった。

私は、死を覚悟しました。

その時です。誰かに後ろから引かれ、間一髪助かりました。

でも、更に驚くことがあったのです。目の前に、黒い着物を着た男性の背中がありました。

すぐに分かりました。七五三の時、立志式の前に出会ったお面の人です。

お面「去ね。二度と現れるな……」

黒い人の塊が消えるとお面の男性は私の方へ歩いてきて優しく頭を撫でてくれました。相変わらず顔にはお面をしていたので表情は分かりませんでしたが……

お面「無事でよかった……遅くなってごめんな」

その声を聞いて私は直ぐに気が付きました。どうして今まで気が付かなかったのか、その声は間違いなく祝詞の方の声でした。

目が覚めた私は両目から涙が零れていました。

現在、私は祝詞の方と交流を続けながら様々な話を見聞きし体験し今まで生きてきた人生の中で一番充実した一年と7ヶ月を過ごしました。この先もきっと私は、幸せな人生が待っていると思います。

怖い体験も込みで、ですがね。

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怖いけど死ななくてよかった。ある意味心を洗われるお話ですね。

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