中編7
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雷冥白其

私が生まれて中学生くらいまで過ごした地元はのどかだといえば聞こえはいいけどコンビニとか小さなスーパーとか昔ながらの商店街くらいしかない田舎な町だった。

そんな町でも楽しく過ごしやすかったけどやっぱり田舎が嫌でそんな時に運が良いというか母の仕事が転勤になり母と町を離れた。

これは私が町を離れる前に起きた小学5年生の頃のお話。

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当時、私は人見知りというかあまり外で遊ぶタイプじゃなくていじめられこそはしなかったけど人と接するのは苦手だった。

そんなある日、クラスの中である話題がもちきりだった。

聞き耳を立てていたわけじゃないけど私は教室の隅の方で本を読んでた。

なんでも話によると隣町の外れにある四本木の所に夜行くとカスタネットの音が聴こえてくるとか手足のない少女が追いかけてくるとか。

私は興味を無くして次の授業が始まるまで手にもっている本を再び読み始めた。

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授業中にふとよぎる。

そういえば、この町にもそういった話はあったねと私は思い出した。

この町は大昔に村とか集落でそこで他の所では信仰のない独自の神様を信仰していたらしい。

今はその信仰は廃れてしまっているようだけど朽ち果てた神社は今でも町外れの山内にありその名残があるそうだ。

何の神様なんだろうかと少し興味がわいたので今日の学校帰りに私は行くことにした。

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「かなちゃん、今日一緒にあそぼうよ!」

学校が終わって帰り支度をしていると友達のあゆみちゃんがそう言ってきた。

「いいよ、先に行きたい場所があるから先に行かない?」

「うんわかった!どこいくの?」

「着いてからのお楽しみ。」

私はあゆみに了承を得て一緒に連れて廃神社に向かった。

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廃神社がある場所は山の中だった。

獣道こそ道中にはなかったけど木々や草花が生い茂り奥に行けば行くほどあまり日の光が届かないようだった。

一時間と少し歩いたところで目的の場所にたどり着いた。

入り口の鳥居は柱のみが半分くらい残っているような感じだった。

二人でお辞儀をして入ると年明けのお参りにいくときの大きな綺麗な神社ではなく、その名残がほんの少し見えるような、かろうじて本殿と拝殿とだけが残っているような、それも草や苔にところどころ覆われているそんな古びた社だった。

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「あゆみ、ついたね。」

「かなちゃん足早いよ〜。そういえば、どうしてここにきたの?」

「うん、今日の休み時間にクラスの子たちが隣町の噂してたでしょ。

それでここのことを思い出して行ってみようかなって。」

「そうだったんだ、あたしもおばあちゃんにここのお話きいたことがあるよ。

昔にお祀りされてた神様の神社なんだよって。」

あゆみもこの神社の話を知っていたようだ。

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「かなちゃんそろそろ公園にいこうよ。」

「そうだね、せっかく来たんだしお賽銭してから行こうか。」

私とあゆみは古びた拝殿のお賽銭箱に十円玉と五円玉をいれて二礼二拍手一礼して境内を出て山を降りた。

それからあゆみと一緒に公園で遊び、五時になった頃に夕暮れを知らせる町内放送の童謡が流れ私たちは帰った。

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翌々日、学校にいき教室に入ると花と花瓶がクラスの男子であるK君の机に置かれていた。

学年主任の先生が来てみんなへの説明が始まった。

どうやら一昨日の夜に家からでて隣町まで行ってたらしい。

その後、K君のお父さん、お母さんが気づき、警察と探していると隣町で冷たくなっているところを隣町の人が見つけ通報して発覚したようだった。

担任と副担任の先生は葬儀に参加するために授業に出られないから学年主任の先生が今日一日私たちのクラスの面倒を見ることになった。

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お昼休みの時間になるとクラス中があの噂の話になった。

「ねえ、かな聞いた?K君の話。」

友達の一人のなおこがそう聞いてきたが知らないよと返した。

「聞いた話なんだけど、K君は隣町の外れにある四本木のところに行ってたんだって。」

「あたしもそれ聞いた!怖いよね…でもまさかほんとなのかなあの噂。」

あゆみが話に入ってくる。

「ただの噂だと思いたいけど…。」

「だよね…。」

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あゆみとなおこは不安そうにしていた。

するとあんまり話をしないクラスメイトの男子の三人組のN君、G君、F君たちが近づいてきた。

「なあお前ら確かめに行かね?どうせうわさだと思うが。」

「実際、気にはなるよな。」

「怖いけどぼくもいく。」

「え…でも。」

「こわいし…。」

N君、G君、F君がそう言うとなおこやあゆみは渋る。

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そうこうしているとクラスの女子グループの一つのリーダーなSちゃんも取り巻きのRちゃんとMちゃんを伴い話しに入ってきた。

「私も行くわ、九人でいけば怖くないでしょ。

文句あるならいじめるわよ。」

どうやら私を入れてこの九人で今日の夜に家から抜け出し隣町の外れに行くことになった。

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無事にというか私たちは家を抜け出し人にみつからないように目的地の隣町の外れまで歩いた。

幸いというべきか元々自分たちの町は人が少なく犯罪などもあまりないため警察の人もあまり見回りはしていないためかすんなりと目的地の四本木へとたどり着いた。

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眠気やつかれもあるからか誰も口を開かなかった。

どれくらいたっただろうか、全員で息を潜めて様子を伺っていると微かに音が聞こえてきた。

「カッカッカッカッ」

そう聞こえる、まるでカスタネットを鳴らした音だと私は思った。

「カッカッカッカッ」

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最初は断続的に聞こえていたのが時間が経つとだんだんと大きくなっていく。

「カッカッカッカッ」

やがてそれは鳴り止まなくなった。

みんな怯えていた。

そうしているとそれが見えた。

四本木の間に赤い服に暗い色のスカートをして首にカスタネットをぶら下げた私たちより年上のような女の子がそこにいた。

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顔は見えなかったがよくみると手足の手首や足首から下が透けているのか見えない。

というかない。

音はどんどん大きくなりそれは私たちに近づいてきた。

恐怖のあまり皆ちりじりに逃げた。

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どれだけ走っただろうか。

住んでる町の方に逃げた私は息もたえたえに膝に手を置き呼吸を荒くしていた。

歩いているとまた微かにだがあのカスタネットの音が聞こえたような気がしてきた。

私は怖くなってうずくまりそうになったが町外れのあの廃神社が頭をよぎる。

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私は疲れも忘れたかのようにとにかく走った。

なぜあそこがよぎったのかはわからない。

でもいまはなんでもよかった。

ただ、死にたくないからとにかくすがりたかったのかもしれない。

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気がつくとあの拝殿の前にいた。

本殿の方に行くと扉が開いていたので、覗いてみるとあゆみとなおこがそこで横たわっていた。

私は思わず駆け寄る。

二人は眠っているだけのようだった。

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するとまたあの音が聞こえてきた。

今度は後ろで鳴ったような気がした。

振り返りそうになるが堪える。

たぶんだけど振り返ったらやばい…逃げようと思ったが足が動かない。

だんだんと音は大きくなる、近づいてきてるようだった。

もうダメだと私は思った。

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すると空が夜なのに白く光り轟音が鳴った。

「…雷?」

思わず言葉が出た。

ふと気づくとあの近づいてくる音がしない。

あたりを見渡すとあの四本木の少女と黒い和服?あれは巫女服だろうか?後ろ姿しかみえないがそんな格好をした白髪の女性が少女と向かい合っていた。

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「カッカッカッカッ」

急にまたあの音が大きく鳴り出す。

少女が白髪の女性に飛びかかる。

すると白髪の女性の前が白く光ると轟音が鳴り出し私の意識はそこで途絶えた。

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目が覚めると病院の個室だった。

母がそこで眠っておりやがて目を覚まし抱きしめられた。

どうして病院にいるのかわからないがところどころ切り傷があり検査入院となったらしい。

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家にどうやって帰ったか記憶にないが母がテレビを観ていると夜中にインターホンが鳴り画面越しに私がぼろぼろの格好をして驚き開けると私がそのまま倒れ込んだらしい。

警察の方にもいろいろ聞かれてどうして夜に出かけたのかとか答えた。母にもこっぴどく叱られた。

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数日後、学校に行くとみんな心配してくれていた。

どうやらあゆみとなおこも入院しているようでしばらくしたら退院らしい。

Sちゃん、Rちゃん、Mちゃん、N君、G君、F君の六人はあの日の翌日に遺体で発見された。

みんな怯えてあの四本木の噂はしなくなった。

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あの夜、廃神社で見たものは私だけしか知らないようだ。

あの白い雷も轟音も誰も聞いてないようだった。

きっとあの白髪の女性は神様なんだろうと思った。

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学校が終わった私は駄菓子屋さんでお小遣いをはたきお菓子をいっぱい買ってあの山内の神社に入った。

お賽銭箱にお小遣いをいくらか入れて二礼二拍手一礼した。

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その後、本殿の方に行き扉の前に駄菓子屋さんで買ったお菓子が入った袋を置いてお辞儀をした。

「ありがとうございました。」

神社を出る前に境内の名残の出口前で私はそう伝え神社を出た。

心なしか空気が綺麗に感じた。

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これが小学校5年生の時に起きた不思議な話。

またいつか語れることがあれば語りたいと思います。

それではまたいずれ。

Concrete
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コメントありがとうございます。
ありがとうございます、嬉しいです。

返信

多くの方々が見てくれたようで嬉しくなります、ありがとうございます。
補足というか文章に入れてなかったのでわからないかたもいるとおもいますので書いときます。
四本木のカスタネット少女は戦力差が大きすぎる雷冥白其に白雷でワンパンされてます。
ただし、消滅はしておらずになんとか自分のテリトリーに逃げてます。
これ以降、雷冥白其のテリトリーには近づかなくなります。

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