短編1
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湿った感触

梅雨時の夕刻、ある高校生が、一人で通学路を歩いていた。

その日は風が強く、空は一面雨雲に覆われていた。

両側を広い田んぼに挟まれた、人通りのない一本道を俯きながら歩いていると、突然、顔に布のようなものがかぶさってきた。

湿った感触が顔に伝わる。

急いで引きはがすと、それは包帯だった。

赤黒い血がべったりと付着している。

高校生は驚き、すぐさま包帯を手離した。

地面に落ちた包帯を見ると、長さが二メートルほどあった。

そして、顔に触れた部分だけが、血で染まっていた。

よりにもよってどうして血が付いた部分が顔にかかったのだろう。

そう思いながら包帯をじっと見つめていると、生暖かい風が吹いた。

包帯は風に飛ばされ、ひらひらと上空を舞った。

そのまま空の彼方へ飛んでいき、やがて見えなくなった。

Concrete
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