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中編5
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押し入れに居た女の子

数年前の話しです

私(男)は友人のA宅で次回のツーリングの話や恋愛話で盛り上がっていました

A宅は二階建の母屋と、離れだった部屋を最近になって繋げた少し変わった造りです

祖父母、両親、A、妹2人の家族構成

その日は両親は仕事、祖父母と妹は離れに居て母屋は私とAだけでした

陽も傾いた頃

A「何かコンビニで買ってくるか」

私「ついでにタバコと缶コーヒー頼む」

A「エロ本は(笑)?」

私「今日は…………………いらねぇ(笑)」

A「じゃ行って来る」

コンビニは歩いても5分くらい、更にAは原付で向かいました

床にあるバイク雑誌やマンガを読みながら時間をつぶしていると…………

「カタカタ………」

隣の部屋から微かに物音がしました

Aの部屋は二階で、二部屋を襖で仕切ってありました、そこから聞こえたのです

気のせい?と考えた時、

「……カタッ………」

何か(誰か)いる?と思いそ〜っと襖を開けると、押し入れに2センチくらいの隙間がありデニム地のスカート?が少し見えていました

妹かな?私は襖を開け

「こんにちは」と声を掛けました、すると

「クスクス…」

と笑い声……

押し入れを開けると

5、6歳ぐらいのショートカットの女の子が唇に人差し指をあてて「シ〜ッ、かくれんぼしてるの」

と言うので

私「そっか(笑)ジャマしてごめんね……」と、押し入れを閉めようとしました

するとその子が

「絶対お部屋に入れちゃダメだよ!開けたらダメ!約束して!」

少し強い口調だったので機嫌を損ねたかな?と思い

私「わかった、約束だね」と指切りをしました

私は部屋に戻り

「おじいちゃんとかくれんぼかな?」とぼんやり考えながらまた雑誌を読み耽っていました……………

「コンビニにしてはやけに帰り遅いな………」

そんな事を考えた時、

「ギシッ…ギシッ………」

階段をゆっくりと上がってくる足音が聞こえてきました

「ギシッ………ギシッ………ギシッ………トッ……トッ……」

ゆっくりと進む足音に少し違和感を感じました

私「かくれんぼなのに忍び足?普通に上がってくれば良いのに…」などと考えていると、

「〇〇ちゃ〜ん……………〇〇ちゃ〜ん……………」

扉の前で女の子を呼ぶ声がしています

「〇〇ちゃ〜ん…………〇〇ちゃ〜ん…………〇〇………」

私は「開けりゃ良いのに?人が居るのに気付いてて、気を使ってるのかな?」と思い

「は〜い、今開けま〜す」と少し明るめの声で返事を返し扉の前へ…………

「〇〇ちゃ〜ん………〇〇ちゃ〜ん………」

私は「ん?………聞こえて無い?呼ぶ声より大きな声で返事をしたし、先日会った時は耳は遠く無かった………………」ドアノブに手を掛けたとき………

ザワザワッ!!!総毛立つような感覚に後退りしました

「何だ?今の…………?」

すると……

バァン!!………バァン!!

怒気をはらんだような扉を叩く音に更に後退り……

「〇〇ちゃ〜ん……………〇〇ちゃ〜ん…………〇〇ちゃん開けて〜………」

扉を叩く音とは違い抑揚を感じ無い声が続きます

「〇〇ちゃん開けて〜………〇〇ちゃん開けて〜…………………………………………ここをアケテ…………ここをアケテ…………」

声の感じが変わり籠もったように………扉を叩く音は激しさを増していきます

私「A〜〜早く帰って来てくれ!」と、立つことすら出来ず震えていました

どのくらいそうしていたのか「……………ビ〜〜ン」という原付の音!

私「帰って来た!…………でも扉の前にはコイツが居る………………………………………………………………………ん?声も音も止んでる……………」

一段とばしに上がるクセのあるAの足音がして扉が開き

A「エロ本買ってきたぞ〜♪……………………隅っこでなにしてんだ?」

ホッとした私は買ってきて貰ったタバコを吸い、コーヒーを飲みながら自分の身に降り掛かった恐怖を話しました……

A「ん〜?おかしいぞそれ?じいちゃん達は妹2人連れて買い物出てるからお前一人だったはずだけど?妹達はショートじゃねぇし…………………変な夢じゃねえの?」

私「夢じゃねえよ!指切りだってしたんだぞ!」

わかってもらえない苛立たしさから語気を強めた私に気圧されるように

A「わ、わかったよ……じゃあ隣の押し入れ見てみようか?それでハッキリするだろ?居るならお前みたいに恐がってるだろうしよ」

Aと2人、隣の部屋の押し入れを開けると……………居ない…………

A「ほらいねぇだろ?」

私「確かに指切りをしたのに…………」

女の子の居た場所を触ってみましたが温かくも冷たくもありませんでした

A「そんなに気になるならばあちゃんに見てもらうか?少しはそういうの感じるみたいだし…………」

私「あ…………うん、頼む」

しばらくして帰ってきたおばあちゃんは私を見るなり拝むように手を合わせ、

「守っもろたねぇ、良かったが〜」と言い、「お寺へ行こう」と私の手を引きました

とりあえず何かにすがりたい気分だった私はおばあちゃんと共にお寺へ行き住職さんの前へ…………

住職さんは私の話を黙って聞いてくださり、話終わると手を合わせ

「御護り頂きましたね」とおっしゃいました

住職さんの話では

「女の子との『開けない』という約束を破り扉の前のモノを招いてしまったら、そのモノに障られていただろう、その子とそのモノが何だったのかは私にはわからない」と、おばあちゃんはその事を「(その子に)守られた」と言っていたようです

おばあちゃんは形として見えるわけでは無いが私を包むようなナニかを感じていたそうです

その後、住職さんの「その子の為に」とのすすめで御焚き上げ?をして頂き、その日は家路につきました

気を使ってくれたAが原付を押しながら付いてきてくれ、

A「もう大丈夫だろ?その子が護ってくれて良かったな♪」などと、軽口で明るくしてくれたので少し落ち着きました

それ以降、霊的な体験は全くありませんがお菓子とぬいぐるみやお人形を持ってお寺を訪ねお経をあげるようにしています

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん

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