十数年前にタマが産まれた
タマは珍しい、三毛猫のオスだった
産まれてから一月ほどして親は死んでしまい、他の兄弟はもらわれていった
一匹残ったタマを家族みんなが可愛がった。
三毛のオスという珍しさから、譲って欲しいと何人にも頼まれたが、もう、家族の一員だからと断った
タマが家族になって一年が過ぎた頃、突然居なくなった
警察やら保健所にも出向いてみたが、見つからない 家族みんなが落胆し、3ヶ月ほどは、会話もなくお通夜みたいな夜を過ごしていた。
そんなことがあって、しばらくしてからの話し
妹と二人して、近くのコンビニへ買い物に行く
家から100mほど歩いてきたところで妹が言った
「あれ、タマじゃない?」 妹が指差す方を見ると、10mほど脇道に入った所に、三毛猫が座ってこちらを見ている
俺達は脅かさないよう、3mほどゆっくり近づいた。そして目線を同じくするようにゆっくり座ると、 手を伸ばして「タマ、タマ」と呼びかけた
すると、「にゃー」と応えてくれた
もう、うれしいなって、タマタマと何度も呼びかけながら、座ったまま少しづつ近づいて行った
あと5mほどに近づくと、にゃーと鳴きながら、向こうから近づいくるではないか
もう間違いない、やっぱりタマだ
手が触れる所まで近づいてくれた
喉を人差し指でさすってやると、気持ちよさそうに腹をみせて寝転んだ
「おまえ何処に行ってたんだよ 心配したんだぞ
こんなに痩せちゃって、帰る道を忘れちゃったのか?」
そっと抱き上げ家に連れ帰った
それから十数年、家族に可愛がられ今も元気でいる
そんなタマも、今ではすっかりおばあちゃんだ。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話