短編2
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黙祷

自宅に帰る道の最後の信号。

赤なので停車して待機。

ふっと目を左に向けると、道沿いの一軒家の門の前に女性が

立っていました。たまたま目が合い、近所と言うこともあり

とりあえず車の中から会釈をしました。

見た目は、40歳くらいの長い髪で痩身な感じの奥様風。

この家の奥さんかな?

しかし、なんで又こんな時間に?

と考えていたのもつかの間。その女性がこちらに向かって

歩いてきます。

??

2車線の道です。

すぐに私の車の助手席側に立ちこちらを覗いています。

私は、ご近所の奥さんが何かあったのかと思い、助手席の窓を少し開け

どうされました?

と聞くと、無言でドアを開けようとしました。

それも何度も繰り返し。

幸いドアロックは掛かっていたため開きませんでしたが、助手席が開かないと見ると今度は後ろのドアに周り、同じように何度もドアを開けようとするではありませんか。

さすがに気持ち悪くなり、車を出そうとしてもドアノブから手を離さそうとしません。

頭にきて運転席をあけ身を乗り出し

いい加減にしろよ!あんた誰なんだよ!

全くひるむ様子もなく、鍵の掛かったドアを開けようとする主婦。

かまわず車を動かそうとすると、取っ手を握ったまま一緒についてくる始末。

さすがに怪我でもされたら困ると思い、

再度

何なんだよ!!

今度は近所中に聞こえるような声で怒鳴ったので若干ひるんだ様子。

いまだ!と思い発進させようとすると、又がちゃがちゃとドアを開けようと、物凄い勢い反復運動をこなす主婦。

言うまでもなく信号は何度も青に変わっています。

しかし、今度は後ろの車にスタスタ向かっていくではありませんか。

今だ!!

私は車を出しました。

チラッと後ろをミラーで見ると後続車の助手席が開いているのが見えました。

翌朝、家内に昨夜のことを話すと、まったく信じてない様子。まぁ、

無理もないか。ひとまず出勤をしてその日の労働に従事していたら、

ケイタイに家内からの電話。

朝、パパがいっていた事件近所で大騒ぎになっているよ!

聞くと腹を刺された男性が近所に駆け込んで、警察が聞き込みをして

いるというのです。嫌な汗が出ました。身代わりにさせてしまった

罪悪感と、当事者のようになってしまったことを言うべきか?

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名係長さん  

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