気付けば、昔からの友達が隣にいた。
「今日は休みなので、服を買いに行くの付き合え」って。
まあ、暇なので、近所のデパートへ付いていく。
でっかいデパートだが、俺は一度も中に入った事が無い。
友達がデパートの中をズンズン歩いて行くので、置いて行かれないよう背中を追っかけて行く。
デパート内は、外観とは違い、妙に狭い通路が続いており、黒い壁で照明も薄暗く、両脇にはアンティークな椅子や小物などが、ぐちゃぐちゃと並べられていた。
そんな光景に戸惑っているうちに、友達の背中は随分遠ざかってしまった。
慌てて走って追っかける。
どんっ。
肩に何かが当たった。
その瞬間、回転椅子の様になっていたのか、大きなフランス人形がくるっと、俺の方を向いて止まった。
青い無機質な目に、びくっとした。
気付けば、俺は車を運転していた。
助手席には誰も乗っていなく、後部座席には昔よく遊んでいた女友達が二人座っている。
なんだか、様子がおかしいなと思いつつも楽しく話をする。
車は、両脇が壁に挟まれた道を進んで行く。
一本道のかどを曲がると、行き止まりだった。
かなりの速度で走っていたので、ブレーキは間に合わない!。
女友達の悲鳴が聞こえる中、壁がどんどん迫ってくる。
ぶつかるっっ!。
気付けば崖の上に立っていた。
下には、何故か見慣れない砂漠が広がっている。
高いところは苦手だが下を見下ろしてみる。
その時、どんっと何かに背中を押された。
頭から下へと落下していく。
その時にはもう分かってた、夢だって。
だが、まるで本物の様な恐怖を感じる。
俺はパニックになりながらも、『これはゆめだ。覚めろっ!』と心の中で叫んだ。
気付けば、ベッドの感触。
ああ、目が覚めたんだと安堵する。
ゆっくりと目を開ける。
間違いなく自分の部屋だけど、視界がおかしい。
まるで、目に赤いフィルムを被せたかの様な赤と黒の世界。
なんだ、これはっ。
これも、夢?。
ガバッと、飛び起きた。
なんだ、夢か?。
さっきのは、妙にリアルで現実との区別がつかない感じがしたので、少し怖く感じた。
安心のせいか、トイレに行きたくなったので、部屋のドアに手をかけた。
ガチャガチャガチャ。
開かない!。
まさか、これも夢か?。
すーっと、ベッドの上で目を開けた。
ふぅー。
これは、夢じゃないよな?。
すーっと、ベッドの上で目を開けた。
もう、これが夢だか現実だか分からない。
この夢から抜け出せるのか?。
すーっと、ベッドの上で目を開けた。
なんか、違和感を感じる。
これは、現実なのか、夢なのか?。
いつか覚める夢なのか?。
あれから、五年。
何度も夜を重ねたけど、あの時みたいな夢から覚めて、今までがリセットされるような感覚は感じた事はない。
今、俺のいる世界は本当に夢じゃないよね?。
怖い話投稿:ホラーテラー 弥孤さん
作者怖話