トイレの中にはそれと同じ、頭から足の先まで真っ白な、着物を着た人影が座っていたのです
『!……??……!!』
声が出ませんでした。
本当に恐ろしい事に遭遇した時は叫び声さえあげる事が出来ないのです…
息が止まる。
声が出ないと共に、無意識に行っている呼吸でさえ、その一瞬だけは体が麻痺したようになり止まってしまいます。そしてその麻痺は直立の姿勢をとらせている体の神経までに及び〈立っている〉事までが困難になるのです。
ぺた…
体の力が抜けたような気がすると、僕の体はその場に崩れ、座り込んだようなかたちで動けなくなった… 僕はどうなる?
この後何がおこる?
来ないでくれ!
誰かー!
何故?何故?何故?
こんなような事がいっぺんに頭を駆け巡りました… 明かりもついていないトイレの中の白い影が…口をきいたのでした…
『ごめんねぇ…』
僕はまだ座り込んだ姿勢から動く事が出来ずにいました。 『スイッチがどこだか…わかんなくて…』
だんだんと闇に目が慣れてくると、そこには総白髪に白い寝間着の老婆が…
田舎に居るはずの母方の祖母が、勝手の分からない家でトイレの電灯のスイッチの在処がわからず暗闇の中、用を足しているところでした… そうとわかれば何でもない事でも、自分のイマジネイションが育てたモンスター達は実際のもの同様の恐怖を与えるのです…
それに遭遇し、腰を抜かし…失禁しかけた僕は、身を持って感じました…
二度目に腰を抜かした
時の話は、またの機会にお話します…
怖い話投稿:ホラーテラー ○さん
作者怖話