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短編2
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おいてけ堀

その池は、昔から(おいてけ堀)と呼ばれていた。

そこで魚釣りをするとまさに入れ食い状態、魚が、釣れて、釣れて、しょうがないらしい。

しかし、釣った魚を持ち帰ろうとすると、どこからか、恐ろしい声が聞こえてくるらしい…

「オイテケエエー、オイテケエエー」と…

それを無視して魚を持ち帰ると、恐ろしい災いがふりかかると言う。

昔から伝わる怪談である。

その(おいてけ堀)で釣りをしたい!!

怖いもの好きの俺は、無謀にもそんな事を考えてしまった。

ある夜、俺はその考えを実行した。

(おいてけ堀)で、釣りをしたのである。

まさに噂通り、魚が釣れて、釣れて、しょうがなかった。

鯉やらフナや十数匹釣れた。まあ食えない魚ばかりだったから持ち帰ってもしょうがないのだが、俺は例の″あの声″が聞きたくて、魚の入ったバケツを持ち帰ろうとした。

だがその時、地の底から響くような恐ろしい声が辺りにこだましたのだ…

「オイテケエエ…、オイテケエエ…」

俺は震えあがった。

まさかここまで恐ろしい声とは…

すぐ池に戻り、バケツの中の魚を池に逃がそうとした。

が、バケツの中を覗きこんだ時、俺は息を飲んだ…

魚が二匹死んでいたのだ…

恐ろしい声は続いている。

「オイテケエエ…オイテケエエ…」と。

俺は覚悟を決め、正直に話した。

「あの…魚が二匹死んじゃってるんですが…あの…ごめんなさい…」

すると、恐ろしい声は俺の方に近づいてきたのだ…

俺のすぐ側で、低い声が聞こえてきた。

「死んだ魚は、一匹につき5百円……

オイテケエエー、オイテケエエー」

俺は魚を逃がし、千円札をそっと置いて、(おいてけ堀)を後にした。

現代に生き残る怪談は、やはり恐ろしく強い事を思い知らされた…

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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