この話しは、私が心に残った事件を創作したものです。
脚色してはいますが、大筋の所は事件のままです。
僕はどうしたらいいのか わからなかった。
これから何をしたら…。
がらんとした部屋の中で、膝を抱えて座っていた。
電気を止められたこの部屋は、すでに暗くなり始めている。
そうだ…。あいつのとこに行かなくちゃ…。弟に、この事を伝えなくちゃ…。
明日の朝になったら…。
自分で思うよりずっと疲れていたようで、僕はそのまま眠りについた。
気がつくと朝日が差し込んでいた。
寒さにぶるっと体を震わせる。
さて、出掛けよう。用意するものなんて何もないから、そのまま外に出ればいいだけだ。
アパートの階段を降りると、下に住むおばさんが通路を掃除していた。
『あら おはよう。今日はずいぶん早いね。』
『あ、おはようございます。おばさんも早いですね。』
朗らかに笑うこの人はとても親切で、作りすぎたと言っては よくおかずを分けてくれた。
『おばさん、僕二、三日留守にしますから…』
『あぁ そうかい。気をつけてね』
『はい。じゃあ 行ってきます。』
僕は足早に歩き出した。
弟に伝えなくてはいけない事があるが、電話番号がわからない。
半年程前に弟から連絡があった時、今の仕事を辞めて パチンコ屋に勤めるつもりだと言っていた。
それきり連絡がなかったので、どこで働いてるのかわからないのだ。
とにかく行ってみよう。
ひたすら歩いていると、いつの間にか太陽は 真上まで昇っていた。
腹が減ったな…。しかし所持金はわずかしかない。
考えたすえに、僕はコンビニで安くてなるべく大きなパンを二つ買った。
一つを食べ、残りはあとで食べよう。
しばらく歩くと喉が渇いてきた。
どうしようか…。自然に目が自販機に行く。ジュースを飲みたいが…いや、我慢しよう。
あと数Km歩けば 大きな公園があったはずだ。そこで水を飲めばいい。
少し痛くなってきた足を時々叩きながら、僕は歩き続けた。
もう どれくらい歩いたのだろうか…。
続く
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話