私は結構、すぐカッ!となる性格。
私に非があるのが明確なら、すぐに素直に謝るが、理不尽なことや卑怯なことにはすぐにカチン!とくる。
我慢に我慢を重ねて、とうとうブチ切れても喧嘩にならない。
相手が涙目でビビるから。
「本当に殺されるかと思った」
と相手は言うのだが、殺意なんか無い。
失礼な…。
まあビビらなかった相手がどうなったか…なんて言わない。
結局、本当に強い人や大物は泰然自若としているもの。
口だけ達者な人って、案外そんなものかも知れない。
そんな私が、一度だけ幽霊にブチ切れたことがある。
その日は、北枕で寝ていた。
夜中に目が覚めたら、金縛りになっていた。
生まれて初めての金縛り。
あ~本当に動かないわ…と思っていたら、頭の方から嫌~な気配が。
ニヤニヤ笑う、男の幽霊。
嫌な顔だ…と思いつつ、
何したいんだコイツ?
とも思っていた。
そいつは、いやらしくジワジワ迫って来る。
…だんだん、腹立ってきた。
人を動けないようにして、何調子こいてんだコイツ…。
そいつが、とんでもなく卑怯者に思えてきた。
そして、男の幽霊が私の枕元まで来て、首に手をかけてきた時に、遂にブチ切れた。
「人が動けんのをいいことになんだオラあっ!」
と叫ぶと同時に金縛りは解け、男の幽霊は、
「ひいぃぃぃっ!」
と悲鳴をあげて消えた。
立ち上がった私は、しばらく「どこ行ったコラあっ!」と怒鳴りながら男の幽霊を探したが、そいつは二度と出てこなかった。
それ以来、金縛りに遭ったことは無い。
怖い話投稿:ホラーテラー 元業担さん
作者怖話