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短編2
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光の射す方へ2

倒れた拍子に外れてしまったらしい。辺りを見渡すと手を伸ばせば何とか届くとこに落ちていた。

取ろうと手を伸ばすと…すぐに撃たれ反射的に手をひく。

相手は狙っていた。

自分の手で自決もできなく相手も殺れないこの状況。

最悪の手段…それは舌を噛みきること…

何の迷いもなく

目を瞑り

大きく口を開け

舌を出した時だった…

「おじちゃん、こっちだよ」

女の子の声がした。辺りを見回すと当然一般人などいることはなく空耳だと思った。

ここにきて頭がおかしくなったと少し笑った。

改めて再び舌を出すと今度は女性の声で、

「早くこちらへ!」

今度は間違いなくはっきり聞こえた。しかも少し強めの口調で。

右側から聞こえ真横を振り向くと誰もいなかった。

ただ15メートル先に小さい穴を見つけた。

じいちゃんはピンときた。

あれは間違いなく洞窟だと。

その洞窟は前の方が生い茂った形で分かりづらく、じいちゃんの角度から見てやっと判る位だった。

さっきの声はあそこからだったんだと自分なりに納得した。

じいちゃんは自分に言い聞かせた。逃げるのではなく助けに行くんだと。愛国感情抜きの一人の男として、人間の自然な行為だと。

そんな事を考えていると偶然にも「間」ができた。

じいちゃんは迷わず一気に走り出した。

敵は気付いてなかったのか、じいちゃんが洞窟の入り口に着いたと同時に一斉に撃ち始めた。

その洞窟は入り口が少し坂になっていた。暗かったのと足を負傷している為、転げ落ちた。

すぐに立ち上がると奥の方から「おじちゃんこっち、こっち」と声が聞こえた。

真っ暗な洞窟の中、100円ライターもない時代。声だけを頼りに、手探りで歩くしかなかった。

じいちゃんはかなり焦っていた。何故なら洞窟に入るとこを相手に見られたからだ。

案の定じいちゃんが少し進むと洞窟に向け威嚇射撃をしてきた。

奥からは女の子と女性の声が交互に声をかけてくれた。

「そのまままっすぐに来て下さい。」

「おじちゃん頭に気をつけて。」

「少し坂になっているので滑らないように…」

じいちゃんは返事をするだけだった。

入り口に着いて中に入ってからも、二人の姿は確認できなかった。

後ろを振り返ると微かな光が見えた。

確実に相手が追ってきてると確信した。

怖い話投稿:ホラーテラー 万年みひろ命さん  

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