Hospital
病室のベットで暇を持て余していたニックの元をビリーが訪れる
「よぅ、相棒。
どーだ骨折した脚の具合は?」
「ああ、もう歩ける。
…すっかり治ってると思うんだが、医者はまだ安静にしてろと…」
「暇か?ひょっとして?」
「まあな。…で、何の用だ?」
「次の仕事だ。今回は海を越えて、遥か南の孤島に向かう。」
「何だ?サバイバル訓練でもやるのか?」
「んな訳ねぇだろ…
何でもこの孤島には100人程の島民が居たそうなんだが…
彼等が突然失踪したらしい。今回の俺達の任務はその調査だ。」
「退院許可はまだ出てないが…」
ニックがそう言うとビリーは一通の紙をニックに渡した。
「…!?退院許可書?
どうしてこれを…」
「さあな、受付にお前の病室を聞きに行ったら渡されたんだ。なぁニック、何かやらかしたのか?」
「お前じゃあるまいし、そんな事はない。大方、N.I.S.の上層部が手を回したんだろ…」
ニックはそう言うとベットから起き上がり、退院の支度を始めた。
「相変わらず切り替え速いな。いつもの事ながら感心するぜ…」
「さぁ、行くぞビリー。
任務の詳しい内容は歩きながら聞こう…」
2人は病院の廊下を出口に向かって歩き出した…
「さぁて、仕事の話に行きますか…」
「ああ、頼むぞ。」
「ま、さっきも言った通りなんだが、今回の任務は住民が失踪した無人島の調査だ。これから俺達は迎えの車に乗り、N.I.S.の本部に向かう。」
「…?直接現地には行かないのか?」
「まぁ、聞けよ相棒。
本部の屋上にシーホーク(軍用ヘリ)が待機している。これに乗って現地へ行く。そして、現地に着いたら先ずは島の中央に位置する例の集落を探す。」
「集落の位置は衛星で探知できなかったのか?」
「いや、なんでも今回は機密性の高い任務らしく、ヘリに島の西側まで運んでもらったら後は集落まで凡そ12kmを歩けとさ…」
「ありがたいな、半ば強引に退院させられて挙げ句に、そんなリハビリまで付いてくるとは…」
「文句があるなら、上の連中に言ってくれ。」
「はは、……で、集落まで歩いたら?後はどうする?」
「集落に残された島民達の生活根を調べろとさ…
おまけに一々写真まで撮れと…」
「今回の件にはナイトメアは絡んでないのか?」
「さぁな、俺も任務の内容はお前が入院してて居なかったら、いつになく真剣に聞いていたが…ナイトメアって単語は聞いてないな。」
「普通ならFBIやCIAがやる仕事だぞ?」
「そうなんだよ、相棒。
俺もそこが府に落ちねぇ………ま、お偉方の考えることはよう解らんし、気にしなくても現地へ行けば答えは解るだろ。」
「まぁそうだが…」
ニックとビリーが病院のエントランスを出る。
例によって、2人の目の前には迎えの黒塗りのベントレーが停まっていた。
「あ!そうだ、ニック。俺達の今回のコールサインは『ホワイトフラッグ』。指令部のコールサインは『フラッグコマンダー』だってよ。」
「白旗か………
嫌なコールサインだな。」
ニックとビリーが迎えの車に乗り込む。
2人を乗せた車は病院の敷地を出ると、N.I.S.の本部を目指した…
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話