少し長いので、二回に別けて書くと思います。
これは私が中学一年生の時に体験した話です。私の家族は夏休みを利用して母の実家のブラジルの〇ソロという田舎街に来ていました。
夏休みも後半戦に突入した時に、〇ソロから六時間ほど車で走った港町にある別荘に行くことになりました。
カシューナッツやアセロラやココナッツの木が沢山ある大きな裏庭には、普通に人が暮らせるくらい大きな鶏小屋がありました。
砂浜がすぐそばにあったので、泳ぎに行きたかったのですが、生憎別荘に到着した日が日本でいう仏滅? 盆?みたいなもので、海には近づくなと言われました。
つまらなさそうにしている私をみた祖父が私を連れて鶏小屋にいきました。私はポルトガル語がわからないのですが、祖父のジェスチャーを見ると明日の朝御飯のために鶏を殺すらしいのです。
祖父は手早く一羽の鶏の足を掴むと、家のウッドデッキに行きました。すると私に鉈を渡したのです。鶏は何かを察したのか、バタバタと暴れています。
祖父はニッコリ笑うと、鶏の首と足を掴み、上下に引っ張りました。すると『パキョッ』という音がして鶏の首は折れました。
祖父が鉈を降り下ろすジェスチャーをしたので、僕は鉈を降り下ろしました。鶏の首と胴体が離れ、血がドロドロと流れました。すると、突然に鶏の胴体が羽をバタバタとさせ首がないまま辺りを走り回ったのです。
私は気持ち悪くなって吐いてしまいましたが、それをみた祖父は笑っていました。
買い物から帰った母と父にそれを話すと父は「よかったじゃないか、日本じゃできない経験だな」とニッコリ。
母は「私なんか五歳のときにやったわよ。吐くなんてなさけないわね」とニッコリ。
夕飯のあとにウッドデッキにでると、鶏の首が逆さ吊りにしてありました。そうすると首の肉に血が溜まって、煮込んだときの味が良くなるらしいです。
身体も殺してすぐは身が固いので一晩寝かせるためにウッドデッキにだしてありました。
電気の無い田舎の別荘だったので、9時になるとみんなで寝ました。
僕は昼間の鶏をひきづっていたので、なかなか寝付けず、外の木にハンモックを吊り、蚊帳をかけてそこで寝ることにしました。
なんといってもブラジルの夏なので、屋外のほうが気持ちよかったのです。
つづく
怖い話投稿:ホラーテラー マロンさん
作者怖話