昔々の
テレビの中でのお話です。
息子を亡くした男がいた。他に家族はいない。
あまりに寂しい男は、毎晩酒を煽った。
墓参りもしなかった。
ある夜、そんな男の元に客人が訪れた。
死んだはずの息子だった。
戻って来たのかと喜ぶ男、しかし息子はさみしそうな顔をしていた。
息子は無言のまま、何処かへと向かう。男は追いかけた。
着いた所は、宴会場だった。人々が楽しそうに酒を飲み食事をしている。
息子もそこに加わったが、息子の席には酒はおろか、料理の一つも無い惨めな状態だった。
男は周りの連中に怒りの目を向ける。
何故、誰も息子に食べ物を分けてやらないんだ。
男はハッとした、よく見るとそこには懐かしい顔が揃っている。
それは皆、亡くなった者達だった。
ここは死者達の宴会場?
では、口にしている物は全てお供え物か?
だとすれば、確かに息子は何も無いはずだ。
男は
息子の墓参りにいってやらない事を
心から悔やみ涙した。
気がつくと夜が明け、男は自分の家にいた。
その後息子の墓は、直ぐにお供え物でいっぱいになった。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話