小学生の時の話です。
僕達はひょんなことから当時よく遊んでいた公園の隅に置いてある倉庫でお泊まりをすることになりました。
その倉庫は畳三畳ぐらいのスペースで入口となる扉と一つの窓がついています。
当然鍵はかかっていますがどこの悪ガキが発見したのかわかりませんが窓はある細工をすると簡単に開くようになっていました。
その町の子供達はみんなそれを知っていてかくれんぼの時には隠れスポットの一つとなっていました。
ある夏休みいつものように当時仲が良かったA、B、C、僕の4人で遊んでいました。するとBが
「なあ、あの公園の隅の倉庫でみんなでお菓子とか持ち合わせて一日お泊まりしない?」
みんな夏休みということもあって開放的になっており誰も反対するものはおらず大賛成です。
早速その日の夜親には友達の家に泊まりに行くと嘘をつきみんなで倉庫に泊まることになりました。
夜の8時か9時くらいだったと思います。みんな大量のお菓子やゲームボーイ、懐中電灯を持ってきて公園に集まりました。
倉庫の窓をいつものように開けて忍び込みます。
それからしばらく楽しい一時を過ごしました。いつも遊んで見慣れてる公園の倉庫なのですがお泊まりというのは初めてだったし妙な新鮮感があったのを覚えています。
お菓子を食べながら好きな子の話や下らない話で盛り上がったりゲームボーイをしたり…。
みんなずっと起きていようと思っていたのですがそこは小学生。夜中になるとみんな睡魔に耐えられなくなり結局寝ることになりました。
夜中の2時くらいでしょうか。Aがボソッと声を出します。
A「なあみんなまだ起きてる?」
B、C、僕「ん~?起きてるよ。どうした?」
A「何か変な音聞こえない?」
耳を澄ましてみると確かに音が聞こえます。
カラカラ…ギィ…カラカラ…ギィ…
B「確かに聞こえるな。なんだこれ?」
みんな大人に見つかると当然怒られるのがわかっているので静かに音に耳を傾けます。
カラカラ…ギィ…カラカラ…ギィ…
一向に音がやむ様子はありません。
C「ねえ、ちょっと窓少しだけ開けて見てみようよ」
怖がりの僕とAは嫌がりましたがBも興味津々といった感じでCの意見に賛成しました。Cは窓をゆっくりと開け公園の方を見つめます。
C「うわ………」
B「俺にも見せて」
Cがそっとどいて今度はBが窓を覗きこみます。
B「うお…なにあの人…」
A、僕は見たくなくてB、Cに聞きましたが答えてくれません。
仕方なく促されるままに窓を覗きこみます。
最初はわからなかったのですが月明かりでだんだん目が慣れてきてその音の正体を見ることが出来ました。
それは乳母車を押しているお婆ちゃんでした。
お婆ちゃんは乳母車を押しながら公園を行ったり来たりしてたまに止めたかと思うと乳母車の中から赤ん坊を取り出し高い高いしていました。
普通ならお婆ちゃんと赤ん坊の微笑ましい光景なのですが時間が時間です。
僕は赤ん坊がうるさくて眠れないからここであやしてるのかなと思う反面不気味という感情も拭えませんでした。
最後にAが覗きこんでいます。
しばらく見ていた後Aはヒッと声を漏らしそっと窓を閉じます。
Aは絶対声を出すなよとみんなに念を押し
「さっき電灯(ブランコの横に電灯がある)で見えたんだけどさ…あの婆ちゃんが高い高いしてる赤ん坊…あれ人形だよ…」
その時背筋がゾクッとしました。
確かに乳母車の音が聞こえるぐらい静かなのに赤ん坊の声が聞こえないのは不思議でした。
それからみんな一言も話さずただただ音が止むのを固まって待っていました。
Bは気になるのかたまに窓をそっと開け公園を見ています。
C「お前あんまり見るなよ、バレたらヤバいだろ…」
B「ごめん…でもさ、あの婆ちゃん少しずつこっちに近づいてきてるような気するんだけど…」
Aと僕はビクッとしてCは窓を覗きます。
C「本当だ…さっきより近くなってる…」
A「やばいよ、もう逃げようよ。あの人絶対頭いかれてるって。見つかったら怒られるだけじゃ済まないよ…」
みんな内心ビクビクでAの意見に賛成しました。
幸い窓の反対側にある扉は公園から死角になっている為扉を開けても公園側からは見えません。
B、僕、A、Cの順に倉庫を出ます。Cが倉庫を出た瞬間
C「逃げろ!!!」
その声を聞いた瞬間みんな散り散りに我が家に逃げました。
次の日学校で
B「お前なんで昨日いきなり大声出したんだよ?」
C「俺が最後倉庫出た時ふと後ろ振り返ったんだよ。
そしたら窓の所からあの婆ちゃんがニコニコしながらこっち見てた。
俺ちゃんと鍵閉めたのに…」
終わりです
怖い話投稿:ホラーテラー もっこりつよしさん
作者怖話